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お風呂くらいゆっくり…“1人の時間”必要な35歳女性が結婚に感じる不安 夫婦強度どう高める?

結婚はしたものの、「自分には独身の方が合っていたのではないか」と悩む人がいます。なぜ、そのように思ってしまうのか。処方箋も合わせて紹介します。

「1人の方がいい」と思ったら…
「1人の方がいい」と思ったら…

「結婚してよかった?」と友人に尋ねられたとき、あなたは満面の笑みで「もちろん!」とうなずくことができますか。

 夫婦げんかが尾を引いている時期なら、「NO。面倒くさいことばっかりだわ」、前日に夫がスイーツを買って帰ってきたばかりなら、「YES。『1人じゃない』って寂しくないもん」と答えるかもしれません。プラスもマイナスもひっくるめて「結婚」です。YES・NOのてんびんは毎日、いえ、毎分上がったり下がったりするのが一般的ではないかと思います。

 しかし、「私には結婚という形よりも、1人で気ままに生きる独身生活の方が合っていたのではないか」と思いをはせる妻たちは多くいます(もちろん夫も)。「2人一緒」の幸せを感じることもたくさんある。けれど、本当の自分を出し切っていないのではないか。我慢をし過ぎていないか。本当は自由に時間とお金を使いたい。家事をせずに一日中、ベッドの上にいたい――。

「結婚してよかった?」への答えが「NO」に傾くときが圧倒的に多い。「そんな人が私以外にもいるのだろうか」と感じているあなたへ。答えは「たくさんいます」。

幸せなはずの結婚生活で…

 怜美さん(35歳、仮名)は2年間同居した彼と結婚しました。交際初期は毎週末に会っていて、会えない平日のことを思うと、週末に別れるときは涙がにじんだといいます。ドラマチックな恋愛関係です。

「いつまでもずっと、一緒にいたいんだ」

 彼からのプロポーズに怜美さんの興奮は最高潮。2人は怜美さんの誕生日に婚姻届を提出すると決め、新居を探し、親に報告し、同居生活をスタートさせました。しかし、怜美さんは同居生活を始めて2カ月足らずで、息苦しさを感じるようになります。彼の方は今まで通り、怜美さんのことが大好きで、家にいるときは以前と変わらず、常に視界の中にいます。もちろん、お風呂も一緒。ベタな恋人同士の振る舞いです。

 怜美さんは次第に「お風呂くらい、1人でゆっくり入りたい」と思うようになります。ランチタイムを返上して仕事を片付け、残業を免れて早めに帰宅し、1人でお風呂に入るようになりました。その“1人時間”に幸せを感じていたのです。

 時々、彼が早く寝た後、1人で雑誌を読んだり、ネットショッピングをしたりするときも至福の時間です。彼が隣にいると話し掛けてきたり、「コンビニ行こうよ」と誘ってきたりして、落ち着かないのです。やがて、怜美さんは1人で過ごす時間がないと彼に優しくできなくなっていきました。ある日、彼が出張先から早めに帰ってきました。帰宅早々、彼がうれしそうに「今日は怜美と一緒にお風呂に入れる」と言ったとき、怜美さんは心底ゾッとしてしまい、同時に罪悪感を覚えました。

「彼は今までと同じように自分を愛してくれているだけで、変わってしまったのは自分なんだ。もともと、自分は1人でいる時間が大切で、人と一緒に暮らすことが苦痛。実は彼との同居を望んでいないのではないか」。怜美さんはそう思うようになります。同居以前は、帰宅後、自分の好きなように1人の時間を過ごしていた。そんな時間があったから、週末に彼とべったり一緒にいる時間を楽しむことができた――。そのバランスが自分にとって大切なものだったと気付いたのです。

 すると、1人の時間がなくなる結婚生活を永遠に続けることに不安を感じるようになりました。「結婚する前に自分の気持ちに決着を付けなければいけない」。そして、私の運営する恋人・夫婦仲相談所にいらっしゃいました。私は「今の正直な気持ちを素直に彼に伝えてみましょう」とお話ししました。怜美さんが彼のことを大好きなのは事実です。その上で、怜美さんは1人の時間がないとバランスを崩してしまうことが判明したのなら、歩み寄る方法は2人で編み出していけばいいのです。

結婚の形はさまざま

 現代はさまざまな結婚の形があります。「別居婚」「週末婚」「卒婚」という言葉も聞くようになりました。「お互いの名字を変えたくないから」「結婚制度に縛られたくないから」と婚姻届を出さずに一緒になる「事実婚」を選ぶ人たちもいます。

 私の知人には、結婚して10年近くがたつものの、夫と一緒に過ごした時間は1カ月にも満たないというつわものもいます。お互いの仕事の関係で、日本・海外と住んでいる場所が違うのが理由ですが、「これが私たちのスタイル。ちょうどいいのよ」と彼女は言います。

 彼女が結婚を決めたのは50歳になる頃でした。結婚願望が全くなく、1人の時間が何より大切で「人と一緒に住むことはできない。ペースを乱されたくない。結婚に全く意味を感じない」と断言していました。私も周囲も彼女は一生結婚しないのだろうと思っていました。彼女が友達が開いたパーティーで、離婚歴のある彼に出会ったのは40代後半の頃。3つ年上の知的で落ち着いた彼と気が合い、自然とお付き合いが始まりました。

 彼は仕事でドイツに住んでいました。今はオンライン通話などもありますし、コミュニケーションは問題ありません。通話を重ねるうちに自然と自分たちの老後の話になり、「2人とも子どもはいないし、これからはお互いの人生に寄り添って生きてみようか」と結婚することを決めました。同居するという話は一度も出ていないそうです。

 結婚は確かに多様化しています。とはいえ、「結婚」と聞いたとき、「婚姻届を出して、同居をして、子どもをつくって、お互いの両親や親戚と交流する」スタイルを連想する人はまだまだ多いのではないでしょうか。「個性を大事にしよう、違いを認めよう」と育てられてきた世代に、ワンパターンの結婚の形式がデフォルトだと言っても無理があります。

 結婚の数だけ、その中身は違っていいと思います。専業主夫でもいいし、子どもがいなくたっていい。妻が家事をやらなくたっていい。両親や親戚との付き合いは2人で話し合って、できる方がすればいい。妥協する力も2人で身に付けていけばいいのです。

 未婚者も既婚者も「1人でいるのが好きだから、結婚に向いていないんじゃないか」と悩むのではなく、結婚という枠を一度外して、この先のライフスタイルを実際に描いてみてください。画用紙に描いても、プレゼンテーションソフトを使っても構いません。そうして、自分らしい結婚の形が見えてくればしめたもの。老後のシミュレーションを描いてみたら、急に「夫が(妻が)(彼が)(彼女が)いないと寂しいに違いない」とパートナーの大切さが浮き彫りになる可能性は高いのです。

「結婚してよかった?」。友達の問いに笑顔で「YES」と答えられる人は、夫婦強度が高い人だと私は思っています。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)。

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