気が向かず退職4回、妻に職探しを頼むダメ「長男夫」 妻はどうすべき?
対等な立場で家事や育児に取り組むことができない夫に対し、諦めの境地にいる妻が“長男みたいな夫”と表現することがあるようです。どんな夫なのでしょうか。
子どもは2人のはずなのに「うちは子どもが3人よ。夫は“長男”なの」と「やれやれ」といった表情で話す妻たちがいます。“長男みたいな夫”とは、対等な立場で家事や育児に取り組むことができない夫に対し、諦めの境地にいる妻が、子どもと同じように手がかかることへの皮肉を込めた表現です。実際にどんな“長男夫”がいるのか、見ていきましょう。
「僕と子どもと、どっちが大事なんだよ!」
佳実さん(仮名、30代)の夫、忠司さん(仮名)は年下夫です。合コンで知り合った2人は忠司さんの猛アタックで付き合い始め、結婚しました。いつも自分を第一に考えてくれる忠司さんに、佳実さんはとても満足していました。そう、あの日までは…。
結婚後、1年余りで妊娠した佳実さんが迎えた出産当日。陣痛に苦しむ佳実さんのそばで、忠司さんはオロオロし、「佳実の苦しんでいる姿を見たくないよ」と涙を流し始めます。
そんな忠司さんを頼りないと思いながらも、自分を思ってくれてのことだし、陣痛でそれどころではないしと出産に臨む佳実さん。彼女の腕をさすりながら、忠司さんはつぶやきます。「子どもが生まれたら、佳実と僕の関係が変わってしまうよ」。その言葉について、お産の真っ最中だった佳実さんは深く考えることができませんでした。
その後、怒涛(どとう)の子育てがスタートします。全てが初めての経験で、一生懸命、子育てをする佳実さんは出産時の忠司さんの“心の叫び”をすっかり忘れていました。ところが、ある事件が起こり、それを思い出すことになります。
ある朝、佳実さんは泣き続ける赤ちゃんの世話にいっぱいいっぱいでした。そんな佳実さんに、忠司さんは「ねえ、スマホ見なかった?」と何度も話し掛けます。それどころではない佳実さんが無視をしていると、忠司さんが大声で叫びます。
「僕と子どもと、どっちが大事なんだよ!」
あぜんとする佳実さんに、忠司さんは「子どもの方が大事だって言うなら、もう会社辞めるからな」。慌てた佳実さんは「忠司のことが一番大切に決まっているじゃない。一番大事で、大好きだよ」と取りあえず伝えると、満足した忠司さんは無事出社していきました。
「会社を辞められたら、育休中で収入のない私も子どもも生きていけなくなってしまうから、必死でした。心にもないことを言って納得させましたよ。彼が子どもの世話をするのは、子どもがかわいいからじゃないんです。私に褒められたいから。子どもっぽいったらありゃしない。もう完全に“長男”です。
そんな調子ですから、『自ら進んで』家事なんてしてくれません。今、彼がへそを曲げずに育児や家事に協力してくれる方法ばかり考えています。お互いの両親の実家は遠いし、結局、頼れるのは夫だけなんです。この生活があと何年続くのかと思うとうんざりしますが、『“ずうたいの大きい5歳の長男”がいるんだ』って自分に言い聞かせています。せめて、13歳くらいに成長してくれることを願いながら」
「自分の欲求を全てかなえるのが妻」
明美さん(仮名、40歳)の夫、陽介さん(仮名、40歳)は根っからの風来坊で、自分の好きなことを好きなようにするのが当たり前だと思っています。過去には「気が向かないから」と明美さんに相談なく、仕事を辞めてきたことが4回。そして、次の仕事をしてほしいなら、明美さんに職を探してくるようにと言います。普通では考えられない“だめ夫”です。
こう聞くと“俺さま中心”のひどい夫のようですが、そうともいえません。明美さんのことを愛していて、とても温厚な性格です。ユーモアもあり、笑わせてくれます。けんかはしますが、DVのようなことはなく、明美さんと対等に言い争っているだけ。
陽介さんに欠けているのは『自分が家族を支え、幸せにする』という意識の欠如です。とはいえ、お酒を飲んだり、ギャンブルをしたり、お金がかかる趣味を持っていたりするわけでもないので、明美さんは大目に見ていました。しかし、とうとう、明美さんが激怒する出来事が起こります。
子どもが生まれたとき、世帯収入が高くはない家計の状況を見て、「子どもの将来のために」と陽介さんを説得し、学資保険に加入しました。ところが、陽介さんはそれを無断で解約していたのです。
転職を繰り返し、無職の期間もあった陽介さんは自由に使えるお金がなくなっていました。地元の男友達とドライブやボウリングに行くお小遣い欲しさに、まとまったお金をこっそり隠し、自分が友達と遊ぶためだけに使っていたのです。それを問い詰めた明美さんに陽介さんは言い放ちます。
「俺に自由な金がないのは生活費を払っているからだ。俺自身、自由に金を使うのは当たり前だし、明美だって、そうしたいならすればいいじゃない。そうしていないのは明美がそうしたくないからでしょ」
それを聞き、明美さんの我慢は限界に達しました。
「筋が通らない釈明で、もう今度ばかりは許せません。子どもを連れて実家に帰りました。現在、離婚調停中です。夫は絶対に別れないと言っていますが、私はもう無理です。10歳の息子より、夫の方が幼いと思います。同級生と遊びたいなんて。だったら、もっと稼げよって感じ。
夫は年齢的には十分な大人ですが、親としては最低です。子どもを守り育てる、その責任を担うことができないんです。ただ、そういう人を夫に選んだのは私です。だから、子どものためにも実家に手伝ってもらいながら、私が1人で働きます」
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