食事前の「いただきます」はする? しない? 2000人調査、研究家に聞くその意味
個食化が進行する現代
Q.アンケートによると、「いただきます」を毎回、もしくは時々している人は計約85%でした。この結果をどう思われますか。
齊木さん「『時々している人』も合わせると、毎回ではないにしても約85%の人が『いただきます』をしているというのは、しっかりと日本の習慣として根付いている証拠であり、喜ばしいことだと思います。食事の前のあいさつという『形』だけではなく、しっかりと『いただきます』の意味も世代を超えて伝えることができれば、思いやりのある、よりよい人間関係も築けるのではないのでしょうか」
Q.声には出さず、心の中で「いただきます」をする人もいます。その理由に「声に出す必要を感じない」「声に出すのは恥ずかしい」などを挙げていますが、声に出さなくても「いただきます」をしたことになるのでしょうか。
齊木さん「声に出して『いただきます』をすることがベストとは思いますが、1人で食事をする『個食化』が進行している現代社会では、声に出す必要性を感じないのかもしれません。しかし、『声に出すのは恥ずかしい』というのは『いただきます』の真の意味を理解していないように思います。残飯が山のように出ている飽食の時代だからこそ、食することへのありがたみを感じ、声にすることは他人にも環境にも優しい行いだと考えます。積極的に声に出すべきだと思います」
Q.回答者2000人中300人弱は「いただきます」をしないという結果です。その理由の多くが「する必要性を感じない」でした。
齊木さん「『いただきます』をする必要性を感じない人が一定数いるのは、2つの理由が考えられます。1つ目は個食化により、目の前で作ってくれた人への感謝の気持ちを表す機会が減ったから、2つ目は、家族と一緒に『いただきます』をしていた子どもが独立したり、子どもを持たない家庭が増えたりして、家庭内で『いただきます』をする意味が薄れたからです。
時代による環境の変化ともいえますが、少なくとも、食事をいただくありがたさを理解することや命を大切にすることは自らの成長にもつながると思いますので、必要性を感じないのは残念なことだと思います」
Q.食事の前の「いただきます」が「これからも必要」と考える人は、全回答者の87.3%に上りました。一方で「必要ない」と考える人も12.7%いて、その理由として、「いつも1人で食べているから」と書いた人がいました。単身世帯が増加傾向にあることを考えると、今後、「いただきます」をしない人が増える可能性もあります。もし、こうした人が増えた場合、どのような影響があると思われますか。
齊木さん「『いただきます』をすることは義務ではありません。しかし、『いただきます』をする機会が減ることは感謝の念を抱く機会が減ることにもつながり、それがやがて、知らず知らずのうちに他者への思いやりの心や感謝の気持ち、生かされていることのありがたみを忘れてしまうことにもつながると思います。1人で食べるときでも『いただきます』をすることで、さまざまな人とのつながりを感じられるのではないでしょうか」
Q.風習や価値観は時代とともに変化しますが、「いただきます」をするかしないかも時代の変化に身を任せた方がよいのでしょうか。あるいは、しっかりと残した方がよいのでしょうか。
齊木さん「人間性を形成する上でしっかりと残すべき言葉であり、行いだと考えます。先述したような『いただきます』の意味をしっかりと理解することができれば、食べられることへの感謝が生まれます。そうした感謝の気持ちを持ち続けることの積み重ねによって、普段の生活においても、他者への感謝や相手を敬う気持ちが育まれると思います」
※この記事はオトナンサーとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは3月16日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、2000人から有効回答を得ました。年代は40代と50代以上がそれぞれ36%、30代20%、20代6%で、男女比はほぼ3対2。職業は会社員52%が最多で、専業主婦(主夫)12%、自営業とアルバイトがそれぞれ10%などでした。
(オトナンサー編集部)

コメント