必死で勉強しなかった人ほど「教育ママ」「教育パパ」になる、実際には?
勉強へのモチベーションは3つ
Q.教育ママ、教育パパにならずとも、子どもが自発的に勉強するようになるには、どうしたらよいのでしょうか。
井上さん「勉強のモチベーションは3つあります。1つ目は『負けたくない』『勝ちたい』という『闘争心』。2つ目は、やり始めたら、いつの間にか夢中になっていたという『探究心』。3つ目は、大学までのあらゆる試験を次のステージへ進むための切符だと割り切って、淡々と勉強する『目的心』です。子どもの性格によって、どのスイッチを押すのかは違ってきますし、どれか一つだけというわけでもありません。通常は複合的に組み合わさっています。
アニメや漫画を見せない親御さんもいますが、これは成長過程としてはよくありません。知らなくてもいい知識というのは本来ありません。知った上でどのようにそれを考えるのかという過程が重要です。そこで、親の出番です、大人の世界には何があるのかを早い段階から知り、大人とともにそのことについて考える。この思考過程を経ることに楽しさを覚えられる子は勉強を苦痛に感じなくなりますので、先ほど挙げた『探究心』で、楽しんで勉強に取り組めるようになります。
最初に挙げた『闘争心』での勉強は、実は受験などの各ステージで成功しても『その後』が続きにくいです。永遠に勝ち続ける勝負というものはありませんので、闘争心しか持たない子はたった一回の挫折をとても長く引きずることになりますし、何より、その勉強の過程で得た知識とスキルは軽薄になりがちです。教育ママ、パパの下で受験に成功した子はこのタイプが多いですね。
なるべくなら、勉強している内容自体、そして、その過程を楽しめた方がいいです。大学以降の勉強・研究、入社後の仕事でも、そういうマインドの方が人生を謳歌(おうか)できます。子どもは親が意外に思うようなことに興味を持つことがあります。『親が好きなものだから子どもも好き』というのはあまり見かけません。子どもがどんなことに食いつくのかをいろいろ試してみるといいと思います。
そのためには、いわゆる『お勉強』だけではなく、『世界にはいろんなことがあるんだ』ということを伝えていくことが大事です。子どもにとって、大人の世界の住民は親と学校の先生だけです。もっとたくさんの大人の世界を見せてあげるといいかもしれません。それは塾や予備校かもしれませんし、スポーツスクールなのかもしれません。いろんな経験をさせて、興味の扉を本人が開く準備をしておくのが親御さんの最大の務めだと思います。
そして、子どもを子ども扱いしないこと。人格を持った一人の人間として接することで、『自分が何をやるべきなのか』を考えられる子どもに成長していきます。そうすれば自然と、先ほど挙げた『探究心』『目的心』のスイッチが押されることになります」
(オトナンサー編集部)
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