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相手の発言を遮る会話泥棒 リモート下は「リモハラ」に気を付けろ!

近著に「成功している人は、なぜ聞き方がうまいのか?」がある社会心理学者の八木龍平さんに、聞き方の技術について聞きました。

リモート下だからこそ「聞く力」を
リモート下だからこそ「聞く力」を

 ビジネスシーンで、相手の話を聞くことはコミュニケーションを構築する上で大切なスキルと考えられています。ところが、世の中には聞き上手が少ないことも事実。聞き上手になると人から信頼され、人生がうまくいくようになります。どうすれば、聞き上手になれるのでしょうか。

 今回は、社会心理学者の八木龍平さんに、聞き方の技術について伺いました。近著に「成功している人は、なぜ聞き方がうまいのか?」(日本文芸社)があります。

あなたの周囲に会話泥棒はいないか

 先日、次のようなことがありました。皆さまにも心当たりはありませんか?

自分「今話題の『鬼滅の刃』を見に行こうかなと。週末チケットが取れたんだよね」
相手「ふ~ん、僕は先日行って来てね。○○や△△があってね」
自分「えっ、そうなんだ。僕はこれから見るから分からないやwww(汗)」
相手「だったら教えてやるよ! ××や□□はみんな知っていることだから」
自分「へえ~(苦笑)」
相手「そんなの常識、当たり前だよ。うんちゃらかんちゃらで~ほにゃららで」
自分「…」

 いわゆる「会話泥棒」というものです。どんな内容でも強引に自分の話のように奪い、不快にさせるテクニックはまさに「お見事」としか言いようがありません。「うんちく」も最初だけなら受け入れられますが、エンドレスになるとへきえきするものです。このときに失敗したのは、その場の雰囲気を壊すことなく、話題を変えて黙らせることができなかったことです。

 結局、こういうタイプの人は褒めると調子に乗って、余計にエスカレートするので注意が必要です。この類いの人の多くは自らを話題豊富な人物としてポジティブに自己評価していることが少なくありません。しかし、相手の話を聞くことの意味を理解していないので対応が難しいのです。

 私たちは「他人の話を聞く」という訓練を受けてきているわけではありません。もし、人の話を聞くことの大切さを理解しているなら、それは人の話を聞くことの意味を何らかの機会に学んでいたということになります。可能であれば、周囲の態度などから自発的に気付いてもらいたいものですが、認識が欠如しているので簡単ではないでしょう。どのように対応すればいいのでしょうか。

人の器は聞くカで測ることが可能

 人の話を聞ける人は信頼、尊敬されるものです。あなたの職場や取引先にはこんなタイプの人はいないでしょうか。「オレの話を聞け」の主張が強い人たちです。

「周りに部下や後輩たちを集めて、ずっと自分の話をしている。それは説教だったり、自慢話だったりします。それだけでもあまり歓迎されないのに、しばしば、態度も大きかったりもする。自分が話したがりの割には人の話には聞く耳を持たない。だから、その人が中心になっている『会議』や『打ち合わせ』は周りの人が『はい、はい』『そうですね』『けっこうなお話ですね』とうなずくだけになってしまいます」(八木さん)

「こういう人は確かに、地位や権力を持っているという意味では『偉い人』なのですが、残念ながら尊敬はされません。本人はいい気分で話していますが、他の人から大事な話を聞かせてはもらえません。悪い意味で『ワンマン社長』といわれる人はこのタイプです。一方で、部下や若い世代の話をよく聞く人、立場は上なのに、人の話に耳を傾ける姿勢のある人は尊敬されます」

「器が大きい」と評価される人の特徴には、次のようなものが挙げられるでしょう。

「自分と異なる意見でもちゃんと受け入れられる。自分が知らないことを誰かが知っていたら、その話に謙虚に耳を傾けられる。つまり、聞き上手な人は器が大きい。人間の器は『聞く力』で測れるというのはそういうことです。そして、聞く力の基本は違いを理解する能力『エンパシー(人の気持ちを思いやること)』です」

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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