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出産機に専業主婦、39歳女性が「夫は外、私は家」を喜んで受け入れる理由

出産きっかけに家事分担

 1年の同居期間を経て、結婚したCさん(37歳)は夫と共働きで、家事を完全に分担していました。ただ、確かに“分担”ではあるのですが、“分担”が指す一般的な意味とは少し趣が違います。

「2人とも仕事で疲れていて、平日は自宅がシャワーを浴びて寝るだけの施設になっていました。食事も各自好きに取り、もちろん、部屋の掃除をする余裕もありません。同居する前から、『家事は分担しよう』と話していましたが結局、2人とも全く家事をしないので、ある意味すごく平等で『これも分担の一つの形だ』と開き直っていました。

休日に2人で過ごすことになると、お互いに相手が『掃除をしなくちゃ』と言いだすのではないかとビクビクして、落ち着きませんでした(笑)掃除をしなければいけないことは分かっているのですが、いざするのは面倒くさいので、子どもができるまで、掃除をする習慣がありませんでした」(Cさん)

 妊娠したCさんは産休を取りましたが、幸い、つわりがそこまでひどくなかったので、自宅で暇と元気を持て余しました。そこで、いよいよ部屋の掃除に着手します。いったん始めてしまうとすっかりのめり込み、1週間で部屋は見違えるほどきれいになりました。

「夫は『別の人の家みたいだ』と喜んでいました。時間があったから掃除したというのもありますが、やはり、生まれてくる子どもにあの汚い部屋はさすがにかわいそうだろうと思い…」

 一度、きれいになった部屋に慣れると、今度は汚れや散らかっている状態が許せなくなってきたとCさんは話します。

「私がすっかり、まめに掃除や片付けをするようになると、私にばかりやらせている罪悪感が夫に芽生えてきたようで、夫も家事に積極的になりました。しかし、夫が家事をやると、『仕事をしているのに家事もやらせるなんて…』と私の方に罪悪感が出てきて、競い合うように家事をやるようになりました。

出産してからは育児がかなり大変だったので、家事を適宜手抜きする一方、夫は仕事を早めに切り上げて家のことを手伝ってくれました。2人とも家事を全くしなかったあの頃が遠い昔のようです」

 一時期、Cさん夫妻が家事をしなかったのもどちらかが始めなかったから、つまり、片方が始めていたら、2人ともやるようになっていたかもしれないと考えられます。よくも悪くも影響し合う2人のようです。

 総務省の「2016年社会生活基本調査」を見ると、夫の家事育児負担割合は微増傾向にあるので、亭主関白的立ち振る舞いの夫もそれにつれて減少している傾向にあると推測されます。

 ここ数年のことですが、「(夫が)育児を手伝う」「イクメン」といった言い回し・言葉が疑問視される流れが出てきました。「夫が育児をするのは当然だ」という考えが背景にあります。世論の後押しを得て、新しい価値観はさらに浸透していくことでしょう。

 夫婦のありようは千差万別で、正解があるわけではありません。“夫婦で家事を分担”というこの令和のトレンドをヒントや足掛かりにしながら、2人にとって最適な形を模索していけば、その人たちなりの理想の夫婦像に近づくことができるかもしれません。

(フリーライター 武藤弘樹)

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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