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最高齢79歳 大阪のシニア男女40人が「チアリーディング」で見つけたもの

元気な高齢者が増えていますが、関西では、最高齢79歳のシニア世代の男女40人が各所でチアダンスを披露しているそうです。

「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」(石原由美子さん提供)
「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」(石原由美子さん提供)

「最高齢79歳のシニア世代の男女40人が各所でチアダンスを披露している」。そう聞いて、その様子がすぐにイメージできる人はきっと少ないでしょう。その名も「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」。主宰・指導しているのは、関西圏で9カ所のチアダンススクールを展開する企業「JUMPS」(大阪市中央区)の石原由美子さんです。

 石原さんはリクルートに在籍時、アメリカンフットボールチーム「ファイニーズ」(現・エレコム神戸ファイニーズ)のチアリーダーとして活躍。2005年に29歳で独立し、「自分の元気さで、周りを元気づける」というチアの精神を広く知ってほしいと、JUMPSを設立しました。

 健康長寿の実現に向かって、高齢者の運動や交流の重要性が注目されている中、元気なシニアが集まって活動している「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」について、石原さんに伺いました。

人を元気づけることが「楽しい」

 シニア世代を対象にチアダンスの指導をしようと思った理由について、石原さんは「多くの人は、チアといえば『女性』『若さ』を連想しますよね。私はもともと、そんな限定的な印象を持たれるのが好きではなかったんです。『自分の元気さで、周りを元気づける』というチアの精神。これを広めることを目的としていたので、会社設立当初から、老若男女はもちろん、障害を持つ人にもやってほしいと思っていました。だから、私の中ではシニア世代に向けたチアダンスの指導は最初から考えていたことだったんです」と話します。

「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」のメンバーは40人。平均年齢は65歳くらいで、50代の人もいますが最高齢は79歳。2割が男性で、男性はズボンがユニホームで、ミニスカート姿ではないそうです。

 メンバーがどんな思いで取り組んでいるか尋ねると、石原さんはこう語ります。

「入ってこられるきっかけは人それぞれですが、やっていくうちに『人を喜ばせる、人を元気づけることが楽しい』とおっしゃる人が多いですね。今は私ではなくて、メンバーが自分たちで老人ホームや地元の敬老会に働き掛けるなどして、チアダンスを披露する機会をつくっています。

それは多分、『チアダンスを披露することによって誰かを元気にしている』という実感があって、チアダンスで少しでも世の中に貢献したいという気持ちになっているからだと思います。社会とつながる機会にもなっていますね」

 筆者も少し体験しましたが、肉体的には少しきつく感じました。シニア世代にとって大丈夫なのか気になりましたが、石原さんは「皆さん、うまくなりたいという向上心があるし、すごく頑張っておられるので、私としてはそれが無理につながらないよう気に掛けています」と配慮を示した上で、あるエピソードを明かしてくれました。

「以前、レッスンが終わってから、『先生! 今、私、肋骨(ろっこつ)が折れてるんやけど』って笑顔で言う人がいまして、もう驚きを通り越して笑ってしまいました…。そういうときは家で休んでいてくださいよって。加齢に伴って体力には個人差が出てきますし、『ワン・ツー・スリー』といったカウントの声が聞き取りにくくなることもあります。チアダンスでは動きをそろえることが大事ですから、いろいろと工夫しなければと考えています」

【写真】「大阪オトン・オカンチアリーダーズ」の活動風景

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川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

NPO法人「老いの工学研究所」理事長、一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

1964年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルートグループで人事部門を中心にキャリアを積む。退社後、2012年より高齢者・高齢社会に関する研究活動を開始。高齢社会に関する講演や執筆活動を行うほか、新聞・テレビなどのメディアにも多数取り上げられている。著書に「年寄りは集まって住め ~幸福長寿の新・方程式」(幻冬舎)、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「チームづくりのマネジメント再入門」(メディカ出版)、「速習! 看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「なりたい老人になろう~65歳から楽しい年のとり方」(Kindle版)、「なが生きしたけりゃ 居場所が9割」(みらいパブリッシング)など。老いの工学研究所(https://www.oikohken.or.jp/)。

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