在宅勤務で増えた「肩こり」「腰痛」…改善法や予防法、受診の目安は?【#コロナとどう暮らす】
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を導入する企業が増えましたが、「肩こり」や「腰痛」に悩まされる人も多いようです。改善策を専門家に聞きました。
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を導入した企業が増えましたが、家にこもる機会が増えたことで、「肩こり」「首のこり」「腰痛」などに悩まされる人も多いようです。在宅勤務時に発症した肩こりや首のこり、腰痛を改善する方法について、医療法人社団鎮誠会顧問で理学療法士の金川潤也さんに聞きました。
机など環境の変化も原因に
Q.まず、肩こりや首のこり、腰痛の原因を教えてください。在宅勤務がきっかけで、このような症状に悩み始めた人も多いようです。
金川さん「肩こりや腰痛、首のこりといった症状の多くは、姿勢が悪いことで起きる、筋肉の痛みが原因であることが多いです。単純に在宅勤務が増えたというだけでなく、活動量の減少や仕事で使う机、椅子など周辺環境の変化も、このような『こり』『痛み』の原因につながると考えられています。
また、男女問わず、30代から40代の働き盛りの世代のほとんどの人は、20代の頃と比較して筋肉量が減少し、体の柔軟性が低下しているため、『こり』や『痛み』を自覚する状態に陥りやすいことも、原因の一つとして考えられます」
Q.肩こりや腰痛、首の痛みを改善する方法を教えてください。
金川さん「まず、『楽な姿勢=体に負担がかかりにくい姿勢』とは限らないことを理解することが大切です。横になったり、休憩したりした後も痛みが緩和しない人は、休息時に悪い姿勢となっていることが多くあります。そのような人はまず、日常生活の中で『体を丸める』などの姿勢を無意識にしていないかチェックしてください。
体が痛みやだるさを感じる前に、ストレッチや軽い運動をする習慣を身に付けることも大切です。また、『人に見せる姿勢を日常的に意識する』だけでも、姿勢のよい状態を保ちやすくなります。このような姿勢や運動を意識すれば、痛みやこりはおおむね改善することが多いと思います。
パソコンを使った仕事が多い人に、ぜひ実践してほしいことがあります。背筋を伸ばして椅子に座っている状態で、下を向かずに軽くあごを引いた姿勢でパソコンのモニターの上端が目線と合うように、画面の高さを調整してください。
ノートパソコンの場合は、ノートパソコン用の市販の卓上スタンド(角度調整可能なタイプ)を購入し、ワイヤレスキーボードやマウスなどと併せて利用することで姿勢が良くなり、作業効率が上がります。カフェなどでは、モバイルバッテリーやおしぼりをパソコンの下に置いて、少しでもモニターの高さを上げるとよいかと思います」
Q.肩こりや首のこり、腰痛に悩まされている時期にやってはいけないことはあるのでしょうか。
金川さん「先述しましたが、背中が丸くなるような姿勢や左右非対称の姿勢など、姿勢が悪い状態を継続することはおすすめできません。呼吸法やストレッチを意識しながら、可能な範囲で全身を動かすことをおすすめします」
Q.それでは、肩こりや腰痛、首の痛みを防止するために効果的な呼吸法やストレッチの方法は。
金川さん「呼吸法ですが、座りながら胸式呼吸(あごを引いてしっかり胸を持ち上げる)と肩で呼吸(しっかり肩をすくめる)を数回ずつ繰り返してください。
ストレッチについては『いすに座ってひざを伸ばし、へそを足先に近づける意識で前のめりになり、ふくらはぎを触る』『おへそで8の字を描くように動かす』『あごを引きながら胸を持ち上げるストレッチ』『あごを引きながら両手を耳につけた状態で背伸び』を実践してください。
また、先述のように、日常生活では『長時間同じ姿勢を続けないように意識する』『少し汗をかく程度の運動を毎日継続する』『スマートフォンのアプリを使用し、睡眠、歩数、体重などを毎日確認する習慣をつける』『きれい、かっこよく見える姿勢を日常から意識し実践する』を心掛けてください」
Q.病院に行った方がよい目安はあるのでしょうか。
金川さん「主に次の症状が出ている場合、何らかの問題が生じている可能性があるため、早めに医療機関に受診することをおすすめします。
・しびれや、左右非対称な冷えなどの症状
・動悸(どうき)や息切れも伴う肩や背中などの痛み
・手足の指などが動かしにくい、力が入らないなどの症状が急激に出る
・あおむけで眠れないほどの背中や首の痛み
・上記ほどではないが、痛みが数カ月続く
また、慢性的な痛みに悩まされている人の中には、痛み止めや睡眠導入剤などを自己判断で多用するケースも見受けられますが、症状の緩和にはつながらないことが多いです。安易に自己判断をするのではなく、医師の診察を受けることを検討してください」
(オトナンサー編集部)
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