感染症予防のうがい 水よりも「お茶」が効果的って本当?
感染防止策として「手洗い、うがい」を徹底する意識が高まっています。「お茶でうがいをすると感染症の予防効果がある」とよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響と不安が広がる中、感染防止策として「手洗い、うがい」を徹底する意識が高まりを見せています。うがいといえば、「お茶でうがいをすると感染症の予防効果がある」とよく聞きますが、ネット上では「わが家はいつも緑茶でうがいをしている」「水よりも効きそう」「本当に効果あるのかな」など、さまざまな声が上がっています。
お茶でうがいをすることは、実際に効果が期待できるのでしょうか。専門家に取材しました。
カテキンがウイルス増殖を抑制
まず、お茶の持つ成分や、うがいへの上手な取り入れ方について、東京都茶協同組合理事で「はやし園」代表取締役の林泰正さんに聞きました。
Q.「お茶でうがい」は風邪やインフルエンザなどの感染症に対して、実際に効果があるのですか。
林さん「お茶は、中国では紀元前、日本ではおよそ1200年前から飲用されています。日常の飲み物というよりは薬(解毒剤)として歴史が始まりました。そのため、お茶も薬も『飲む』ことを『服する』といいます。このことから分かるように、お茶には健康増進や病気予防といったさまざまな効果があることが知られており、最近の研究によってその薬効が科学的に証明されてきました。
お茶の有益な成分の中でも、苦みや渋みのもととなるカテキンには、エイズウイルスやインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があることが明らかになっています。インフルエンザウイルスは鼻や喉に入り込んで増殖し、症状を引き起こしますが、カテキンの一つであるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、少量でもウイルスの吸着と増殖を防ぎます。
このため、お茶でうがいをすることで、喉に付着したウイルスが細胞に吸着することや細胞内で広がることを効果的に抑えられます。ただし、ウイルスがいったん体内に侵入してしまうと効果が薄いため、ウイルスをブロックするためにも、お茶うがいを毎日の習慣にすることが大切です。
また、うがいだけではなく、お茶を日常的に飲用することでカテキンなどの有効成分が直接体内に吸収され、抵抗力を高める効果があるともされています」
Q.「お茶でうがい」をより効果的に行うためのポイントとは。
林さん「カテキンは湯の温度が高いほど多く溶け出します。お茶をおいしく入れるには適温の湯を使うことが重要ですが、カテキンを多く溶出させるのが目的の場合、熱湯を使用してください。熱湯で時間をかけて入れることで、カテキンはより多く溶出します。そのままでは熱いので、うがいをするときは冷ましてから使います。
また、このような入れ方の場合、お茶の成分は1回で出切ってしまうので、次に入れる際は茶葉を取り換えてください」
Q.うがいに使うお茶はどのように選ぶとよいですか。
林さん「お茶は高級品から普段使いしやすいものまで、さまざまな価格帯のものがありますが、一般的に価格が高ければ高いほど全ての成分を多く含有しています。ただし、カテキンは他の成分に比べて、価格による含有量の減少が少ない成分です。そのため、比較的安価なお茶でも先述の入れ方をすれば、多くのカテキンを溶出・摂取することができます。
また、粒度が細かくなるほど成分の溶出量は多くなるので、煎茶(普通煎茶)よりは深蒸し煎茶、また粉茶や粉末茶をおすすめします」
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