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ひきこもりの子の国民年金保険料を父親が拒否、「未納」から救う手は?

長男の健康保険はどうする?

 安堵(あんど)している母親に、筆者は注意を促しました。

「世帯分離をすることで、ご長男の健康保険をどのようにするのか考えなければいけません。世帯分離をすると、たとえ同じ家に住んでいても『別居』扱いになってしまうからです。別居の場合、健康保険の扶養の手続きがちょっと面倒になってしまいます」

「具体的には、どのようなことですか?」

「ご主人からご長男へ毎月、仕送りをしている事実を証明する書類を会社へ提出することになります。例えば、ご長男の口座へ毎月お金を振り込んでおき、その通帳のコピーを提出するといった感じです。ちなみに、手渡しでは証拠が残らないので駄目です」

「それはちょっと面倒ですね。まとめて振り込んでもよいのですか?」

「振り込みは『毎月』する必要があります。また、『仕送りは5万円以上であること』など会社の健康保険でルールを設定しているはずなので、事前にしっかりと確認しておかなければなりません」

「主人がそこまでしてくれるかどうか…仮に主人の健康保険の扶養に入れなかったら、どうなってしまうのですか?」

「ご長男だけ市区町村役場の国民健康保険に入ることになります。保険料はいくらになるのか、ちょっと調べてみましょうか」

 筆者はそう言って、スマホの画面に指を滑らせました。母親は固唾(かたず)をのんでその様子をうかがっています。しばらくして、筆者は母親に告げました。

「ざっくりですが保険料は月額4500円。このお金が別途発生してしまいます。面倒な手続きの方を選ぶのか? お金を支払う方を選ぶのか? この場では答えが出ないと思います。それぞれのケースについて具体的な金額も交え、ご主人とよく話し合ってみてください」

「そうしてみます。分からないことがあったら、またご相談できますか?」

「はい、大丈夫ですよ。その場合はこちらにご連絡ください」

 そう言って、筆者は母親に名刺を手渡しました。

 どのような理由があったとしても、お子さんの国民年金を未納状態のまま放っておくのは望ましいことではありません。保険料は支払うのか、免除するのか、猶予するのか、どれを選ぶのかは、ご家庭の事情によってさまざまだと思います。

 どれを選んだらよいのか判断に迷ったときは、市区町村役場の年金課、または年金事務所の国民年金課で相談するとよいでしょう。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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