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6歳ほどの男の子が女風呂にいて不快…お風呂で迷惑をかけないために親がすべきこと

幼い息子を連れて温泉旅館に行ったとき、「何歳まで母親と一緒に女湯に入れていいんだろう?」と迷った経験、ありませんか。

息子と女湯へ、何歳までOK?
息子と女湯へ、何歳までOK?

 幼い息子を連れて温泉旅館に行ったとき、「何歳まで母親と一緒に女湯に入れていいんだろう?」と迷うことはありませんか。

 ネット上では時折、「温泉に行ったら、母親と一緒にお風呂に入っている6歳くらいの男の子がいて不快な思いをした。非常識だ!」といった書き込みが話題になりますが、「いくら子どもでも気持ち悪いと感じてしまう」「同世代の娘が嫌がるからやめてほしい」「小学生なら男湯に行くべきだと思う」「特に気にならない」など賛否両論があるようです。

シングルマザーゆえの悩みも

 私の息子は知的障害を伴う自閉症児です。私はシングルマザーなので、温泉旅館に行ったときに、息子とお風呂に入ってくれる夫もいませんでした。息子が小学生になっても、女湯に連れていこうとして、旅館の人から「男湯に行ってください!」と注意されてしまったことがあります。「私にとっては“永遠の2歳児”でも、周りから見たら立派な『男』なんだなあ」と反省した出来事でした。

 息子は中学生になっても、若い女性の先生に幼児のように甘えることがよくありました。性的欲求ではありませんが、それでもはたから見たら許されない行為です。そのため、支援学級の担任の先生から、毎日のように「○○君、もう体は大きくなっているんだから、女の人に抱き付くのは犯罪だよ。警察に連れていかれるよ」と注意されていました。

 家庭のお風呂でも、「障害のある子どもがいつまで母親と一緒に入るか」は課題です。障害者の性に関する勉強会で、講師から「重度の知的障害のある成人男性は、一人で体を洗うことができません。そんなとき、母親も一緒に裸になってお風呂に入り、体を洗っていいと思いますか?」と参加者に問いかけがありました。

 答えは×(バツ)。「どんなに障害が重くても、年齢は重ねているのですから、母親は水着を着て洗ってあげましょう」という答えでした。

「親の目」と「他人の目」は違う

 公衆浴場の配置基準や入浴者の衛生・風紀に必要な措置の基準は、地方自治体ごとの「公衆浴場法施行条例」によって定められていますが、内容は自治体によって、ばらつきがあります。例えば、公衆浴場において「10歳以上」の混浴を禁止しているケースが多いものの、男湯・女湯に同行してよい子どもの年齢制限は統一されていないのが実情です。また、遊園地のアトラクションに設けられている身長制限のような明確な基準もありません。

 他人が年齢を判断する場合、体格に大きく左右されます。実際、4歳でも小学生くらいに見える大柄な子どももいます。自閉症などの発達障害がある場合も、一見すると普通の子なので理解されにくいのです。さらに、親は「まだまだ幼い」と思っていても、他人から見たら「立派な男児」と見えることも多いです。

 こうした親の目と他人の目とのズレもあります。公衆浴場では、これらの判断が利用者それぞれの常識や良識に委ねられるため、不快な思いをする人や、それに伴う利用者同士のトラブルが発生しかねません。

家族風呂など活用を

 では、子どもを一人で公衆浴場に行かせたいとき、親はどうすればよいのでしょうか。大浴場では、普段入っている家のお風呂とは明確に違うルールが存在します。「走っちゃだめ」「泳いじゃだめ」「湯船の中でブクブクしちゃだめ」「タオルを湯につけたらだめ」など、まずはこうしたルールについて子どもにしっかりと教える必要があります。

 一人で体を洗うことが難しい子どもの場合は、先に部屋のユニットバスで体や髪を洗い、大浴場では湯船につからせるだけにする、という方法もあります。「いきなり湯船に入らない」「必ずかけ湯をしてから入る」など、家のお風呂でも守るべき基本的なルールを合わせて教えましょう。

 温泉旅館は日頃の疲れを癒やし、リラックスするために行く場所です。子ども連れの親も他の利用者も、不安を抱えたり、ヒヤヒヤしたりしながらお風呂に入るのは避けたいものですが、近年は家族の形態が多様化し、シングル家庭も多いので困っている家族もいると思います。

 しかし、シングルファーザーが親子で温泉に行ったとき、幼い女の子を父親が男湯に連れて入るわけにはいきません。そのような場合は、露天風呂付き客室や貸し切り可能な家族風呂が利用できる宿を選ぶとよいと思います。さらに、銭湯で利用者の背中を流すなどのサービスを行う江戸時代の職業「三助(さんすけ)」のようなサポートスタッフを利用できる、有料のオプションサービスがあるとよいのではないでしょうか。

 ペットと一緒に宿泊できる施設などが増加傾向にある昨今、多様化する家族形態に対応した宿泊施設やサービスが展開されていくことを願ってやみません。皆さんは、どうお感じになりますか。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

コメント

1件のコメント

  1. 父親が幼い娘を連れて銭湯に入る光景など、いくらでも見ますけど?
    男性はそれに対して不快にも思わないし、なにより眼中に入りません。
    女性が連れて入る男の子の年齢が問題なら、反対でも同じことでしょう。
    父親が幼い女の子を連れて入るわけにはいかない、という決めつけは、筆者がいかがわしい発想をしているからでしょう。フェミニストな女性にありがちなご意見ですな。