オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

犬も猫も高齢化…ペットが最期まで健やかに生きるため、飼い主に求められること

相談できる環境を持つことが大事

 ペットの高齢化に伴う諸問題により、飼い主の生活が圧迫されるケースもあります。特に高齢者は、自身の病気や入院が原因でペットを飼えなくなるケースもありますから、家族や近所の人、かかりつけの動物病院など、常に相談できる環境を整えておくことが大切です。そのためには、飼い主本人の社会性が重要になってきます。人付き合いが苦手な人もいるとは思いますが、自身のペットを守るために日頃から周囲との関係性は大切にしたいものです。

 例えば、高齢の人はペットを飼えなくなったときに備えて、譲渡先を決めておくことも選択肢の一つとして大切です。確かに、最後まで責任を持って飼うという意識も重要ですが、できないことを無理に頑張るより、動物福祉の観点からも、むしろ、ペットが健やかに暮らしていけるための環境を整えることの方が重要です。

「飼えなくなったら保健所」ではなく、家族、友人、見ず知らずの人でも大切に飼ってくれる人、または、そのような活動をしている団体と日頃からコミュニケーションを取って準備することをお勧めします。そのためには、社会全体がペットを取り囲むさまざまな環境、考え方を受け入れる寛容な社会であることが求められます。

 また、動物病院は病気を治すためだけの施設だと思っている人も多いかもしれませんが、私たち獣医師は治療以外にも、飼育方法や日常の困りごとのアドバイスなど、多種多様なことに対応してきています。実際に、私の病院にはさまざまな人が相談をしにやって来ます。その人たちの質問、相談に答えていくことも大事な仕事だと考えていて、特に高齢で1人暮らしの人には「何かあったら連絡してくださいね」と伝えています。

 実際に先日、午前3時ごろに80代の高齢のご婦人から「私、転んで骨折しちゃったみたい。病院に行くにも猫ちゃんの方が心配だから先生迎えにきて」と電話がかかってきたので、夜中に猫を迎えに行きました。この女性とは長年のお付き合いで、お人柄、生活環境など、さまざまな事情を把握していたのでそういう行動を取ることができました。ときに獣医師は、動物だけではなく飼い主をサポートしなければならない局面もあるのです。

「自分や周囲に何かあったら、先生は何をしてくれるのか」「どこまでやってくれるのか」など、踏み込んだ話を日頃からかかりつけの動物病院の先生としてみてはいかかでしょうか。人も動物も高齢化する社会の中、病気を治すためだけではなく、ペットとの生活のさまざまな問題に対応できる能力を動物病院も求められているのかもしれません。

(成城こばやし動物病院院長・東京都獣医師会副会長 小林元郎)

1 2

小林元郎(こばやし・もとお)

獣医師

米ニューヨーク州マンハッタンのAnimal Medical Centerにて研修(1990~1991年)。1993年、成城こばやし動物病院を開業。公益社団法人東京都獣医師会副会長、先制動物医療研究会副会長、東京城南地域獣医療推進協会(TRVA)理事、アジア小動物獣医学会所属。

コメント