「お年寄り」消滅社会の到来!? 超高齢化ニッポンの不思議とは
「超高齢化社会」に突入した日本ですが、ある種の専門家の見方では、「おじいさん」や「おばあさん」はいなくなるといいます。その意味はどのようなものでしょうか。

超高齢化社会に突入した日本――。内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、総人口1億2711万人(2015年10月1日現在)のうち、65歳以上の高齢者人口は3392万人で、高齢化率が26.7%となりました。世界保健機関(WHO)が超高齢化社会の基準を「21%~」としていることからも、日本におけるその傾向は明らかです。
そんななか、博報堂新しい大人文化研究所統括プロデューサーの阪本節郎さんは「日本は超高齢社会ですが、『おじいさん』や『おばあさん』がいなくなる」と話します。オトナンサー編集部では、阪本さんにその発言の真意を聞きました。
地縁や血縁から、情報を媒介とした縁へ
阪本さんは「『おじいさん』や『おばあさん』がいなくなる代わりに、『おじさん』と『おばさん』が増えていきます」と指摘します。一体どういうことでしょうか。「高齢者が変化しているのです。年齢は高齢者でも、彼らは自分たちのことを高齢者と思っていません」。
新しい大人文化研究所では、2000年から50~80代に関する調査を開始し、一つのことが分かったといいます。「全ての年齢層の中で、高齢者が最もメディアに接触する時間が長かったのです」。現在の高齢者は、退職金や年金で比較的自由な人生設計が可能であり、余暇もあります。その時間を使ってメディアに接触し、さまざまな情報を得ることで「昔のイメージのお年寄りではなくなったのです」。
特に男性は、身を置く場所が会社員生活という「縦社会」から「横社会」へと変化することもあり、メディアから情報取得する時間が長くなるといいます。「今までの高齢者は定年退職後、地縁や血縁などを使ってネットワークを作っていたものですが、現在の50、60代はそもそも地域に根付いていない人も多い。ですから、メディアを使って得た情報が共通の話題になるのです。NHKの朝ドラが好例ですね」。阪本さんは彼らのネットワークの変化について、「地縁・血縁から情報縁へ」と指摘します。
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