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松坂桃李、どんな作品にも“気品”をもたらす優しさと強さの人間力

故・緒形拳さんに通じる「人間力」

 松坂さんはその後、大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014年)でも「殿」を演じました。主人公・黒田官兵衛の跡取り息子です。大河の「殿」といえば「江~姫たちの戦国~」(2011年)で徳川秀忠を演じた向井理さんや、「真田丸」(2016年)で豊臣秀頼を演じた中川大志さんも似たタイプに思えます。

 向井さんと中川さんは、朝ドラでヒロインの相手役も務めていますが、松坂さんも「梅ちゃん先生」(2012年)と「わろてんか」(2017年)で、その役どころを二度務めています。NHKが好む気品系イケメン俳優の理想像にぴったりなのでしょう。ちなみに、先月、日本テレビ系「ヒルナンデス!」で紹介された「20~30代女性が選ぶ結婚したい男性俳優トップ10」でも堂々の1位でした。

「殿」が似合うベテラン俳優には、松平健さんがいます。ドラマ「暴れん坊将軍」やミュージカル「王様と私」が当たり役です。ただ、悪人も含めた役柄の幅広さという意味で、松坂さんには故・緒形拳さんに通じる魅力を感じます。「顔も似ている」との声もネット上で見かけます。

 緒形さんは、優しさと強さという「人間力」がにじみ出るタイプの俳優でした。松坂さんもまたしかり。関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「パーフェクトワールド」(2019年)では、自身の障害を乗り越え、健常者との恋を成就させるという物語に、その人間力がリアリティーをもたらしていました。俳優になることを父に反対され、実績を重ねることで認めさせたという実体験も生かされたのでしょう。

 第2部に突入した「いだてん~東京オリムピック噺~」では、主人公の阿部サダヲさんと共に五輪招致を目指す役で出演します。松坂さんの「人間力」が、数字的には苦戦中の大河ドラマにどんな影響をもたらすか、こちらも注目したいところです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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