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「220万人」「170万人」…大規模イベントの“人出”はどうやって数えている?

ゴールデンウイーク期間には、100万人単位の人出を記録するイベントも開かれます。こうした数字は、どうやって数えているのでしょうか。

「浜松まつり」の凧揚げ合戦(2017年、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー提供)
「浜松まつり」の凧揚げ合戦(2017年、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー提供)

 ゴールデンウイーク期間中、全国最多の人出を記録する「博多どんたく港まつり」(福岡市)が、きょう5月3日に開幕します。これに次ぐ規模の「ひろしまフラワーフェスティバル」(広島市)、「浜松まつり」(浜松市)も同日スタート。それぞれ、100万人を超える人出を数えますが、「220万人」「170万人」といった数字について「どうやって数えてるの?」「本当にそんなに多いの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

1区画の客数×面積×回転数+…

 博多どんたく港まつりは5月3、4日の2日間で計200万人以上を集めるとされるイベントです。福岡市中心部を東西に走る「明治通り」を歩行者天国(通称「どんたく広場」)にしてのパレードと、市内30カ所以上に設置された「演舞台」での踊りや歌、華やかに装飾された「花自動車」の市内循環などで構成されます。“福岡市全体がお祭り”的なイベントですが、同市の人口は158万人。市民全員が参加・見物して、さらに多数の観光客が訪れないと200万人は超えない計算です。

 30年以上にわたって、どんたくの運営に携わり、事務局次長などを務めた岡部定一郎さん(88)=福岡県太宰府市在住=に聞きました。

Q.どうやって人数を算出するのですか。

岡部さん「警備の必要上、福岡県警当局から要請があったこともあり、細かく計算していました。

まず、明治通りのどんたく広場。何人が広場で見ているか、4~5メートル四方などの区画を設定して見物客を数えます。その数に、両サイドの歩道の延長と幅から出る面積・千数百平方メートルを掛けて、さらに『人が立って見物するのは2時間くらいが普通』と仮定して、パレードの時間帯から考えて『2.5回転する』として2.5を掛けます。パレードに出演している『どんたく隊』も何団体もあって、1万人単位で参加しているのでそれも加えます。

花自動車、昔は福岡市内に路面電車があって『花電車』でしたが、これを見ている人も計算します。沿道の距離を測り、『1メートルごとに2人立っている。それが何回転』と計算します。さらに、30カ所以上の演舞台がありますから、それぞれの会場に『どのくらい人が来ました』と聞いて足します。

そうやって積み重ねた数字に、西鉄電車、JR博多駅、福岡空港の乗降客数、周辺の道路の渋滞状況、天気のバランスなどを加味して、どんたくの実行委員会メンバーが集まって『このくらいだろう』として、『延べ200万人以上』という数字を出すわけです」

Q.電車や飛行機の乗降客数を足したら、ダブってしまうのでは。

岡部さん「乗降客数は参考です。前年との増減を参考にします。道路もそうですが、『今年は特に渋滞がひどいから5%増しだろう』という感じです。確かにアバウトな面もありますが、根拠のない数字ではありません。ホールでの催しならはっきり分かるはずですが、市街地の屋外でやっている祭りですからね。警察も数字に納得していました。

警察といえば、飛行機に乗せられて、空の上から人の密度や交通渋滞の状況を見て、警備について協議したこともありました。可能な限りの科学性を出そうと警察も一生懸命でした。

私が事務局で運営に携わったのは1990年代前半までなので、現在はどうなっているか分かりませんが」

 事務局にも何度か問い合わせましたが、「人出の出し方の資料が奥に入っていて、今は回答できません」とのことでした。

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