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赤ちゃんと犬の「同居」、どんなメリットがある? 飼い主のNG行動や注意点は?

赤ちゃんと犬の「同居」について、ネット上で話題になっています。犬を飼っている家庭に子どもが生まれた場合のメリットや注意点とは――。

赤ちゃんと犬の「同居」、メリットや注意点は?
赤ちゃんと犬の「同居」、メリットや注意点は?

 赤ちゃんと犬の「同居」について先日、ネット上で話題になりました。犬を飼っている家庭に子どもが生まれ、同じ空間での生活が始まると、ほえる回数が減ったり、赤ちゃんに寄り添うような様子を見せたりするなど、犬の行動が穏やかになるケースがあるようです。一方で、犬との過度なスキンシップは、赤ちゃんのアレルギー症状や感染症、ケガなどにつながる恐れがあり、心配する声も少なくありません。

 ネット上では「うちの犬はいつも赤ちゃんの近くで寝ています」「突然かみつかないか不安」「犬は赤ちゃんのことを意識するのかな」「どんなことに気をつけたらいいんだろう」など、さまざまな声が寄せられています。赤ちゃんと犬の同居がもたらすメリットや注意点について、獣医師の増田国充さんに聞きました。

赤ちゃんに対する本能的な優しさ

Q.犬を飼っている家庭に子どもが生まれた場合、犬は赤ちゃんのことをどのように認識するのでしょうか。

増田さん「ヒトの赤ちゃんに関心を示し、好意的に捉えることもあれば、“おっかなびっくり”の様子を見せたり、警戒したりすることもあります。ただ、それらによって犬がヒトの赤ちゃんに重大な危害を加えることはあまりないと思われます。赤ちゃんの存在も気になると思いますが、それよりも、新たな家族が増えたことによって、自身(犬)の家庭内での序列やポジションを気にすることがあります。つまり『赤ちゃんと自身の関係をどう捉えようか』と探るのです」

Q.赤ちゃんの存在は、犬の精神面にどのような影響を及ぼすのですか。

増田さん「犬は元来、群れを形成して生活しています。群れの中で、赤ちゃんは当然弱い立場になるため、外部から守ろうと本能的に関心を向けます。つまり、犬は赤ちゃんに対する優しさを持ち合わせていることになります。実際、ヒトの赤ちゃんを見る犬の目は、非常に優しい力強さを持っています」

Q.飼い主は犬に対して、どのように接するとよいのでしょうか。

増田さん「人間と生活している以上、どうしても人間(赤ちゃん)を優先することとなります。それが問題ということではありませんが、犬も飼い主さんからの愛情を受け止めたいと思っています。赤ちゃんとたくさん接したら、その後でも構いませんので、しっかりと犬を褒めてあげてください」

Q.犬と赤ちゃんが同居する上で気をつけるべきことや、飼い主のNG行為はありますか。

増田さん「まず、双方が生活する上で“危険なもの”を安易に置かないことです。例えば、赤ちゃんのおもちゃを犬がくわえてしまう可能性もありますし、その逆も起こり得ます。スキンシップを取るのはよいものの、犬の食器を赤ちゃんがなめてしまうといった事態は、決してよいことではありません。

また、犬は抜け毛が非常に多いです。毛だけでなく、フケなどもホコリと一緒に床に落ちます。不衛生な環境は、赤ちゃんの皮膚や呼吸器に影響を及ぼすことがあります。常識的な範囲で住環境の掃除を忘れずに行いましょう」

Q.一方で、犬と赤ちゃんを同居させることのメリットや、良い効果はあるのでしょうか。

増田さん「『子どもの免疫力の強化につながる』といった医学的な研究発表が出されている点が注目されます。生活環境が清浄すぎると、逆に免疫機能に影響が及び、アレルギー体質につながるという見方もできます。

また、犬の感情や行動が優しくなることが期待できます。犬も、ヒトの赤ちゃんを『赤ちゃん』と認識するので、攻撃的な行動はあまり見られません。実際に『赤ちゃんのやや手荒い行動にも我慢する様子が見られる』といった、飼い主さんからのお話を耳にすることもあります。友情のような絆が生まれやすいのでしょうね。

そうした点から、特に意識的に教えなくても、犬・赤ちゃんともに相手を思いやる気持ちが育まれることが期待されます。関係が形成されれば、犬も手荒な行動に出ることはほとんどないと考えられます」

Q.犬の状態や飼育環境について、赤ちゃんを家に連れ帰る前に確認しておくべきポイントを教えてください。

増田さん「犬の健康状態が良好であることが条件です。心臓病を持っていたり、がんなど大きな病気と闘っていたりする状態では、環境の変化にうまく対応できない恐れがあります。犬が妊娠中・産後の場合は、気力・体力ともに大幅に消費する時期です。この時期は赤ちゃんと一緒にすることを避けるなど、犬への十分な配慮が必要となります。

また、感染症や寄生虫(ノミやマダニ)の予防はしっかり行っておくべきです。犬の皮膚の感染症には、例えば『皮膚糸状菌症』という人間にも感染するカビの病気もあります。普段と同じ程度でよいので、定期的にシャンプーをしておきましょう。

犬、人間ともに、一緒に過ごす時間とプライベートな時間はしっかり確保しておくべきだと思います。日頃からサークル(ケージ)に入っていられるよう、トレーニングしておきましょう」

(オトナンサー編集部)

増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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