定年直後に「あなたと2人きりはまっぴら」と妻から離婚届 「熟年離婚」しやすい夫婦の“6つの共通点”とは
事例1:退職初日に妻が言った「お疲れさま。でも、私も終わりにします」
65歳の健一さん(仮名)は無事、定年退職しました。退職祝いのごちそうが並ぶ食卓で、同い年の妻がビールを飲み干してから、「お疲れさま。でも、私も終わりにします」と言い、静かに封筒を置きました。中身は離婚届。
健一さんが驚いて「冗談だろ?」と言うと、妻は「冗談じゃない。あなたと2人きりで家にいるなんてまっぴらです」と返しました。
妻は、亡き義母の介護、親戚づきあい、家計、家事をずっと一人で担ってきました。子どもが中学、高校時代は塾代を捻出するためにパート仕事もしました。健一さんは「会社勤めで生活費、学費のために給与を入れていたから当たり前」と思っていました。
しかし、妻にとっては、“それ以上に一人で背負ってきた年月”が限界を超えていたのです。
妻が最後に言った言葉が、印象的だったそうです。
「私は、あなたの奥さんでいる前に、一人の女性なの。お手伝いさんではありません」
この夫婦の問題は長年の“ねぎらい不足”と“家庭運営の偏り”にあります。それが定年という節目に、一気に噴き出してしまったのです。
事例2:夫が家にいるのに、妻の負担が増えた「定年後クライシス」
62歳の美和さん(仮名)は、66歳の夫が退職してからドッと体調を崩しました。更年期症状が治まったばかりなのに、けだるくて疲れやすく、何だか体調が優れません。きっと夫があれやこれや追い詰めるからだと思いました。
夫は悪気なく言います。
「昼、そうめんでいいよね?」
「そうめん“でいい”って言うけど、作るの私だよね」
夫は家にいる時間が増え、細かい注文も増えました。手伝うと言うけれど、中途半端なやり方。
さらに「美和は毎日、家にいるんだから、リビングもっときれいにしろよ。グリーン買ってきてよ。飾ろうよ」と言い出しました。
美和さんは爆発します。
「私、家でイラスト描く在宅仕事しているのよ! あんただって家にいるじゃない。掃除機をかけなさいよ! 自分で盆栽でも買えばいいのよ」
このケースは、夫が“家を自分仕様にしたがる”一方で、妻側は“ただ家の仕事が増えただけ”になってしまっています。これでは、妻は「一人がラク」だと感じるのも無理はありません。
熟年離婚の危機にある夫婦が、今からできる改善のコツ
大げさなことをする必要はありません。ポイントは「小さく、具体的に」です。
(1)まずは週1回、1つのテーマについて30分だけ話す
いきなり長時間の会話をするのは難しいものです。例えば「今週しんどかったことを1つ」「来週どう改善するかを1つ」だけでOKです。
(2)家のことを“見える化”して分ける
料理や掃除、洗濯、買い物、ゴミ出し、病院予約、親戚付き合いなど、やることを紙やパソコンなどに書き出してみましょう。「手伝う」感覚ではなく「担当」を決めると、イライラが減ります。
(3)2人きりの“1週間の過ごし方”をすり合わせる
ずっと一緒にいる必要はありません。「夫の一人時間」「妻の一人時間」「夫婦で一緒にする時間」を先に決めておくと、息ができます。
(4)お金は“月1回の確認”にする
難しい投資の話ではなく、「今の貯金」「年金の見込み」「毎月の固定費」というこの3つを共有するだけでも、不安が減ります。
(5)うまく話せないなら、第三者を入れる
夫婦だけで話すとけんかになる場合、カウンセラー、自治体の相談窓口、FP(家計相談)、弁護士(初回無料)など、間に人を入れると進みます。友人はおすすめしません。専門家ではないから、感情が入ります。
「離婚するため」ではなく「冷静に話すため」に外部サポーターはどんどん頼りましょう。
一番怖いことは?
一番怖いのは「無関心」です。熟年離婚は、ある日突然起こったように見えて、実は「もう何も期待していない」という無関心が先に来ます。
ここまでヒビが入っていると、ちょっと優しくしただけでは戻りません。だからこそ、危機のサインが出たときに、少しでも手当てをしましょう。
定年は、夫婦を終わらせる合図ではなく、夫婦の暮らし方を変えるタイミングです。やり直したいなら“今”です。
(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)







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