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言うことを聞かない子どもとコミュニケーションが取れる、たった一つのスキル

「モチベーションファクター」に合ったフレーズがカギ

個人のモチベーションファクターに合わせた指示が必要
個人のモチベーションファクターに合わせた指示が必要

「モチベーションファクター」とは、個人の意欲を高める要素のことをいいます。十人十色というように人それぞれ異なりますが、私は「モチベーションファクター」を2分類の志向=「牽引(けんいん)志向」「調和志向」と、6分類の要素に分けています(※表参照)。

 6分類の要素のうち、「目標達成」「自律裁量」「地位権限」で意欲が高まりやすい人は「牽引志向」が強く、「他者協調」「安定保障」「公私調和」で意欲が高まりやすい人は「調和志向」が強いという関連性があります。演習参加者は、それぞれの志向や要素にだいたい均等に分かれ、2分類の志向の内訳は「牽引志向」51.4%、「調和志向」48.6%とほぼ半々です。

 例えば、独自の考えや方法、タイミングで取り組むことで意欲が高まる子どもは「自律裁量型」、心配事を解消することで意欲が高まる子どもは「安定保障型」といえます。子どもの「モチベーションファクター」を見極め、それに合ったフレーズで指示・命令を繰り出せば、子どもの意欲は高まり、巻き込みやすいのです。それに合ったフレーズを繰り出すときのキーワードも表にまとめました。

 少し詳しく説明しますと、「自律裁量型」の子どもに「あれをやったか、これをやったか」と親切心から細かな確認をしてしまうと、モチベーションが低下してしまいます。「工夫してやってみたか」と聞けばよいのです。一方、「安定保障型」の子どもに「工夫してやってみたか」と同じフレーズを繰り出しても、心配事は解消されず、意欲は高まりません。

 親が「牽引志向」だからといって、子どもも同じとは限りません。自分の「モチベーションファクター」に基づくのではなく、相手の「モチベーションファクター」によってフレーズを言い換える、たったそれだけのことで、コミュニケーションギャップを一気に解消することができます。なお、この手法は親子間だけでなく、夫婦間や友達同士、上司と部下の関係でも役に立ちます。

(モチベーションファクター代表取締役 山口博)

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山口博(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター代表取締役

長野県上田市出身。慶応義塾大学法学部卒業。国内外金融・IT・製造企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て現職。モチベーションファクター(R)(意欲を高める要素)をてこにした分解スキル反復演習(R)型能力開発プログラムを開発、展開しているグローバルトレーニングトレーナー。横浜国立大学大学院非常勤講師。主な著書に「ビジネススキル急上昇日めくりドリル」(http://amzn.asia/d/cwWsVkE)、「チームを動かすファシリテーションのドリル」(単行本=http://amzn.asia/d/6ZPWVaC、新書=http://amzn.asia/d/hRTRrvn)、「99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100」(http://amzn.asia/d/8z6NmSl)。

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