他国より“圧倒的に低い”日本の「女性管理職」比率…女性たちが抱える「管理職への懸念」の正体
女性活躍推進が叫ばれる昨今において、「女性管理職が増えない」現状を抱えている日本。求人サイト「Indeed」のエコノミストが、さまざまなデータから背景を解説します。

「男性は仕事、女性は家庭」。そんな根強い性別役割分業が変化し始めた平成から、時代はさらに移り変わり、令和では「管理職に就く女性」が注目されてきています。しかし現在の日本において、女性活躍推進は本当に「進んでいる」といえるのでしょうか?
その問いに対し、求人サイト「Indeed(インディード)」の国際的なエコノミックリサーチ機関「Indeed Hiring Lab」エコノミストの青木雄介さんは「日本では、女性活躍推進が十分に進んでいるとはいえない現状がある」と分析します。さまざまなデータをもとに、なぜ日本で女性管理職が増えないのか、その背景についてご解説いただきました。
管理職の女性比率、日本は“圧倒的に低い”
世界各国と比較して、日本では管理職における女性の比率がかなり低い状況です。国際労働機関(ILO)の統計によると、日本における、就業者数に占める女性比率は45.4%(2024年)で、他の経済協力開発機構(OECD)加盟国と同様の水準です。ところが「管理職」となると、女性比率が30%を超える国が多い中、日本は16.3%(2024年)にとどまっています。
なぜ、他国とこれだけの差がついているのか。複数の要因が考えられるため、一概には言えませんが、主には「男性が外で働き、女性が家庭を守る」という役割意識が長らくの間、日本社会に根付いていたこと、女性が出産・育児を経て働き続けられる環境がなかなか整備されてこなかったこと、産休・育休の取得が評価・昇進を阻んできたこと――などが挙げられるでしょう。
そんな「女性管理職」について、近年、求人サイト「Indeed」ではある傾向がみられます。
Indeed上に掲載された求人を分析すると、「女性管理職の登用実績」を明示する企業の割合が6年間で5倍に増加しているのです。つまり、「当社では女性が管理職として活躍しています」とアピールする企業が増えているということです。
2016年4月に「女性活躍推進法」が施行され、女性管理職比率の向上が目標とされてきましたが、2024年11月、厚生労働省が新たな方針を発表しました。女性管理職比率について、従業員101人以上の企業を対象に、有価証券報告書等での公表を義務化。2026年4月より実施されます。
これは、女性の活躍状況が「企業価値を判断する指標」として、さらに重要視されることを意味します。投資家をはじめ、さまざまなステークホルダーが注目する指標であるだけに、企業はこの課題を放置できません。
こうした背景から、現在、女性管理職の採用を強化する動きが出てきています。女性管理職経験者、あるいは今後、管理職としてのキャリアを志向している女性に応募してもらうために、求人情報に「女性管理職の登用実績」を示し、安心感や興味を持ってもらおうとする意図が見てとれます。
女性管理職の登用に積極的な企業は、柔軟な働き方を受け入れやすい「企業文化」を持っている場合があります。また、「女性が働きやすい会社である」とアピールするために、女性管理職の割合や、リモートワークの制度をセットで求人情報に掲載するなど、「企業採用ブランディング」の一環として行っている可能性もあります。
コメント