小学生の「スマホ所有」はもはや当たり前…危険だらけの「スマホデビュー」で親が決めるべきルールは5つあった【専門家解説】
小学生がスマホを持っているのがもはや「当たり前」となった昨今ですが、子どもの“スマホデビュー”には多くの危険が潜んでいます。親が決めるべきルールを、専門家に聞きました。

「みんな持っているから、私もスマホが欲しい!」。ある日、子どもからこんなお願いをされたら、あなたはどうしますか? 「連絡手段として便利だし、周りの友達も持っているなら…」と思う反面、使いすぎやトラブルが心配になるのもきっと本音でしょう。
大切なのは、スマホを「どう使わせるか」。調査データを交えながら、子どものスマホデビューの現状とリスク、そして親子で話し合うべき5つのルールについて、個人向けセキュリティーサービスを提供するNordVPN(オランダ)の最高技術責任者であるマリユス・ブリエディスさんに詳しくご解説いただきました。
小学校高学年のスマホ所有率は50%超
「そろそろ子どもにスマホを持たせるべきか…」という悩みは、親なら誰もが一度は抱えるもの。近年、小学生のスマホ所有率は年々上昇しており、NTTドコモによる「2024年 親と子の調査」では、小学校高学年の2人に1人以上がスマホを持っているという結果が出ています。もはや、小学生のスマホデビューは特別なことではなく、当たり前になりつつあるのです。
小学生のスマホ所有が一般的になった今、親が想定していなかったトラブルも増えています。スマホ依存、ネットいじめ、ネットストーカー、さらには個人情報の流出など、親が気付かないうちに、子どもが危険にさらされていることも少なくありません。
「親は、子どもの娯楽や防犯のためにスマホを持たせますが、その一方で、スマホがもたらすリスクへの意識が薄れがちです。子どもを守るためには、親の適切な指導やプライバシー設定の管理など、親自身のデジタルリテラシーが欠かせません」と、ブリエディスさんは指摘します。
子どもがスマホの“奴隷”に?
「うちの子なら問題なくスマホを使える」……そう思っていませんか? しかし、ブリエディスさんは「スマホには、大人でも見落としがちな危険が潜んでいる」と警告します。では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。
まず、多くの親が懸念するのが「スマホ依存」です。児童発達支援機関「Kutest Kids」(アメリカ)が行った調査によると、10代の60%以上がスマホ依存の兆候を示し、1日平均9時間もスマホを使用していることが明らかになっています。SNSやゲームへの過度な依存はもちろん、66%の10代が「スマホなしでは不安」と感じていることから、精神的な影響も深刻です。
また、NordVPNが実施した調査では、日本人のネット利用時間のうち、最も多く費やしているのは「動画視聴(YouTubeなど)」で、次いで「SNSの閲覧」となっており、子どもだけでなく大人もスクリーン依存が進んでいることが分かっています。長時間のスマホ使用により、視力や学力の低下、睡眠不足といった生活習慣の乱れが懸念されています。
「スマホのテクノロジーは私たちの生活を豊かにするものですが、子どもたちが適切に付き合えなければ、知らぬ間に彼らはその“奴隷”になってしまうかもしれません。シリコンバレーの親たちは、子どもがスマホに依存しないよう、意識的に距離を取らせています。これは、私たちにとっても参考にすべき考え方ではないでしょうか」と、ブリエディスさんは指摘します。
スマホ依存に加え、ネットいじめやネットストーカーも深刻な問題です。LINEやSNSでのやりとりが日常化する中で、「グループから外された」「SNSで悪口を書かれた」といったトラブルが、学校の外でも続くケースが後を絶ちません。
また、SNSに何気なく投稿した写真や動画から、住んでいる場所や通っている学校が特定され、個人情報が流出するリスクもあります。さらに、オンラインゲームやSNSを通じて見知らぬ人とやりとりすることで、ストーカー被害や詐欺、誘拐といった犯罪に巻き込まれる可能性も高まります。
このように、スマホは便利なツールである一方で、多くのリスクをはらんでいます。親として、子どもにスマホを持たせる前に、使い方やルールをしっかり話し合い、安全に利用できる環境を整えることが不可欠です。
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