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「サンチュ」焼き肉&サムギョプサルのお供 レタスより“アンチエイジング要素”が15倍? 管理栄養士が解説

焼き肉やサムギョプサルの付け合わせで食べる「サンチュ」の栄養について、管理栄養士に聞きました。

「サンチュ」
「サンチュ」

 日頃から、韓国料理を楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。焼き肉やサムギョプサル(豚バラかたまり肉)の付け合わせで食べたり、チョレギサラダに入ったりしている「サンチュ」。どんな栄養素が含まれているのか、管理栄養士の岸百合恵さんに聞いてみました。

皮膚や粘膜の健康維持、がん予防の効果があるβ-カロテンが豊富

Q.「サンチュ」について、教えてください。

岸さん「『サンチュ』はレタスの一種の“葉野菜”です。サンチュは韓国の呼び名で、日本では『掻きチシャ』と呼ばれてきました。焼き肉で焼いた肉やサムギョプサルを巻いて食べることが有名で韓国のイメージが強くありますが、日本でも奈良時代から親しまれてきた野菜でもあります。

丸いレタスが主流になってはいますが、昨今の焼肉ブームとともに再度、注目されるようになりました。

レタスと違い結球しておらず、レタスより柔らかい食感です。また、サラダ菜とも似ていますが株ごとでなく1枚ずつ売られており、サラダ菜よりも少し苦みのある味わいです。一般的にはハウス栽培が多く、時期を選ばず手に入りますが、露地栽培では、本来、初夏から秋が旬の野菜です」

Q.サンチュにはどんな栄養が入っているのですか。

岸さん「サンチュは、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力の強化、がん予防、アンチエイジングなどに効果があるといわれている『β-カロテン』の含有量が多く緑黄色野菜に分類されています。その量はレタスの中で最も多く、通常の玉レタスと比較すると約15倍の量が含まれます。そのほかビタミンK、ビタミンC、カリウム、鉄、葉酸などが比較的多く含まれます」

Q.サンチュの食べすぎによる、体への悪影響は考えられますか?

岸さん「レタスやサンチュの茎から出る乳白色の物質には『ラクチュコピクリン』という苦み成分が含まれます。これは睡眠促進効果、鎮静効果があるといわれています。

運転前には食べ過ぎない方が良い、寝る時間に近い夕食で食べたほうが良いという声もありますが、それには莫大な量のレタスを食べる必要があり、その前に栄養バランスを崩すので睡眠促進効果のための食べすぎはそこまで気にしなくてもよさそうです。

ただ、レタスよりサンチュやサニーレタスの方が少し多く含まれているので、サンチュを大量に食べる際は考慮したほうが良いかもしれません。

また、サンチュは水溶性、不溶性の食物繊維を含むので食べ過ぎた場合は人によって下痢や腹部膨満感などの症状が出ることがあります」

Q.サンチュをおいしく食べられるレシピがあったら教えてください。

岸さん「一般的に肉や野菜を巻く韓国料理に使われますが、さっぱりとしていてクセのない味わいなのでさまざまな料理に合います。炒め物や和え物、スープで召し上がることもおすすめで、加熱することによりカサが減ってたくさん食べられますし、油と調理することでβ-カロテンや脂溶性のビタミンの吸収率がアップします。スープだと流れ出てしまうビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に摂取することができるので効率的な栄養摂取に良いですね。

肉巻きやサンドイッチ、生春巻きなどに使用すると、レタスよりも柔らかいサンチュは巻きやすく、たっぷり使用できるので消費レシピとしてもよいでしょう。緑色もきれいなので彩りもよくなります」

(オトナンサー編集部)

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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