お盆に覚えたい「お墓参り」のマナー、基本の流れ・持参物・注意点は? マナー講師に聞く
お盆には、お墓参りをして先祖の供養を行う人が多いと思います。今回は、お墓参りの作法についてマナー講師に聞きました。

平成最後のお盆を迎えました。お盆は、ご先祖様や亡くなった方々の精霊をお迎えし、感謝と供養を行うものです。時期は地域によって違いがありますが、関東などは7月13日~16日(新の盆)、一般的には8月13日~16日(旧の盆)です。いずれも13日に迎え火でお迎えし、16日には送り火で浄土へお見送りをします。
お盆の時期に改めて押さえておきたい「お墓参りのマナー」について、マナーコンサルタントとして国内外で80冊以上のマナー本の著書があり、各種メディアでマナー評論家・マナー解説者としても活躍中の西出ひろ子さんに聞きました。
亡くなった方への感謝の気持ちを表す
Q.お墓参りに行く時のマナーとは、どのようなものですか。
西出さん「まず、マナーとは決まり事ではありません。また、しきたりや慣習とマナーは異なります。しきたりや慣習は昔から言い伝えられている習わしのことで、日本でも地域などによって違いがあります。一方、マナーすなわち『礼儀』とは、相手や状況に応じて相手の方が喜ばれることを行うことです。お墓参りの際のマナーとして最も大切なのは、ご先祖様や亡くなった方への感謝の気持ちで参ることです。
私が先日お墓参りをした際、お子さんや大人も『じいじ、来たよ~』などとご先祖様に話しかけながら、お掃除をなさっていたご家族がいらっしゃいました。とても心のこもったお墓参りだと感心し、印象に残っています」
Q.お墓参りの基本的な流れについて教えてください。
西出さん「それぞれの慣習やお墓の形態に応じて異なりますが、まず墓前でごあいさつをします。その時、墓石よりも低い目線からごあいさつするとよいでしょう。ただし、しゃがむことが難しい場合は、その限りではありません。その後に掃除をすると、ご先祖様や亡くなった方々が喜ばれるのではないでしょうか。
お墓をきれいにしたら、お花やご先祖様の好物をお供えした後に改めてお参りをします。仏様は『香りを食す』と言われているので、お酒などの飲み物はふたを開けてお供えしましょう。飲み物を墓石にかけると変色の原因になるため、控えた方がよいとされています。飲食物は、白い半紙の上に置いてお供えします。
線香の火は息で吹き消すのではなく、右手で仰ぎましょう。マナーとは『相手の立場に立つ』ことであり、物にも、『相手』としての思いやりを持つという考え方から成っています。墓石やお供え物に対しても同様です。
管理事務所があれば、あいさつに立ち寄り、日頃管理くださっている方へ御礼を伝えるのもよいでしょう」
Q.どのような物を準備して行くとよいでしょうか。
西出さん「お墓の形態にもよりますが、一般的に、墓石に傷をつけない布やスポンジ、花、お供え物、宗旨などに応じて線香も持参します。また、雑草や出たゴミなどを入れるゴミ袋や、軍手も用意していきましょう。水をくむ桶や柄杓(ひしゃく)などは持参するか、霊園によっては借りることもできます。暑さや日差しに備えて日焼け止めクリームを塗ったり、虫よけ対策を行ったりしてもよいと思います」
Q.その他、お墓参りの際に注意すべきことはありますか。
西出さん「お供えする花の選び方に注意しましょう。香りの強いもの、トゲのあるバラ、首から花が落ちる椿などは適さないと言われています。しかし、故人がこれらの花を好きであれば、その限りではないとも言えるのが本来のマナーです。バラがお好きな方であれば、トゲを取り除いてからお供えをするという配慮をしたり、『お母さんの好きな椿を持ってきたよ』とお声掛けしながら飾ったりすれば問題ありません。
大切なのは、このような情報を知っている中で、自分がどのように対応するかということです。気になる場合、帰る時にこれらの花だけを持ち帰ってもよいでしょう。なお、飲食物は必ず持ち帰ってください。
マナーとは、お互いがハッピーになるために存在するものです。お墓参りに行くことで、ご先祖様や亡くなった方々への感謝の気持ちとして、喜ぶことをして差し上げ、それが自身の喜びとなればよいですね。また、お盆にお墓参りに行けない場合も、心の中でご先祖様や亡くなった方への感謝の気持ちを持って過ごせば、その気持ちはきっと伝わります。どうぞ、よきお盆をお過ごしください」
(ライフスタイルチーム)
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