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秋冬は猫の「毛球症」に要注意! 時として“命の危険”も? 獣医師が解説

「いつもより毛づくろいが多い」ときは要注意

Q.毛球症を発症した場合、どんな治療を行うのですか。

増田さん「おうちでの様子や症状と、実際に診察した結果とを総合して治療を行います。吐き気に対して、原因となる毛球がない場合は、胃や食道の粘膜保護や吐き気を止める治療を行います。

吐き出すことが難しいほど大きな毛球がある場合は、摘出をします。内視鏡を使用するケースの他、開腹手術が必要な場合もあります。毛球による腸閉塞が確認された場合は、速やかに詰まっている毛球を取り出す必要があります。

もともと猫は吐き戻しが多い動物ではありますが、1日に何度も吐いている場合、元気や食欲がない場合は、毛球症以外の消化器の病気である可能性も考慮に入れ、早めに動物病院で診察を受けましょう」

Q.毛球症を予防することはできるのでしょうか。特に、換毛期において飼い主が気を付けるべきことも教えてください。

増田さん「抜け毛の量や毛づくろいの回数、猫自身の毛の長さなどによって毛球症のリスクは異なります。猫はきれい好きなので、毛づくろいは身だしなみを整える行動として日頃からよくみられます。その補助としてブラシをかけてあげるとよいでしょう。

換毛期でなくても、皮膚に炎症やアレルギーがある場合、毛づくろいの回数が増えることがあります。ストレスに起因して増えることもあるかもしれません。いつもと比べて毛づくろいが多い場合や皮膚病がある場合は、原因を突き止め、早期に対策を取ることをお勧めします。

また、毛玉ができにくいフードやサプリメントもあります。これらは毛玉ができなくなることを保証するものではありませんが、排せつされやすくなる場合があります。不調がみられたら、様子を見ずに診察を受けましょう。その際、個々に合った毛球症の対策についてアドバイスを受けることも、予防として有用となります」

(オトナンサー編集部)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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