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【アリかナシか】「立って用を足す」「ふたを開けっ放し」…人の家でトイレを借りるときの“最低限のマナー”とは? マナーコンサルタントに聞いた

訪問先でトイレを借りるとき、あなたはどんなことに気を付けていますか。相手に不快な思いをさせない“最低限のマナー”について、マナーコンサルタントに聞いてみました。

不快な思いをした人も…
不快な思いをした人も…

 友人や知人の家を訪問した際、その家のトイレを借りた経験がある人は多いと思います。人の家のトイレを使うときは気を使うものですが、その一方で「立ってしたと思われる痕跡があった」「使用後のトイレのふたが開いていた」「トイレットペーパーを大量に使われていた」など、自宅と同じような感覚で使われて不快な思いをしたという体験談も少なからず聞かれます。

 そこで、マナーの観点からみた「人の家でトイレを借りる際の注意点」について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。

まずは「汚さないように使用する」こと

Q.人の家を訪問し、トイレを借りた際、「立って用を足す」「トイレのふたを開けっ放しにする」「トイレットペーパーを大量に使う」ことについて、マナー的観点からみてどう思われますか。

西出さん「マナーの定義は『相手の立場に立つ』なので、ここを理解した上で、実際にどうすればいいのかを考えます」

【立って用を足す】

立って用を足すことについては、床や壁などへの飛び跳ねが気になるものです。便座に座ってできるのであれば、その配慮はあってもいいと思います。

用を足した後に、汚していないかを確認して、もし汚してしまったらきれいに拭きましょう。そのとき、一般的にはトイレットペーパーを使用することになると思います。汚すことで、紙という資源を余計に使用することになります。それを考えたときに、「汚さないように使用する方がいい」と考えられますね。

【トイレのふたを開けっ放しにする】

もともと、ふたが閉じていたら「このおうちの人はふたを閉めるタイプだ」と察して、ふたを閉めて出るのがよいでしょう。

一方で、そのおうちの人が、トイレを使用しやすいようにふたを開けてくれているのかもしれません。また、衛生上においても「流す段階でふたを閉める方がよい」ということをコロナ禍で学んだ人も多いと思います。このような観点から、使用後は、ふたを閉めた方が無難といえます。

【トイレットペーパーを大量に使う】

これに関しては、そのときの事情にもよるところがあると思いますが、必要以上に大量に使用することは避けましょう。

Q.人の家でトイレを借りる際、“最低限”どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

西出さん「先述した通り、まずは『汚さないように使用する』ということです。使用後は汚していないか確認して、もし汚してしまったら、きれいにする配慮はしたいところですね。自分が逆の立場だったらと考えてみましょう。自宅のトイレを他人に汚されて、うれしい気分になる人は少ないのではないでしょうか。

面倒と思うかもしれませんが、『訪問先でトイレを借りるかもしれない』と事前に想像してみると、『汚すかもしれない』『においが気になるかもしれない』といったことが考えられます。トイレに入るときに、携帯用の除菌消臭スプレーなどを持参し、きれいにして出ると、その配慮に感心する人もいるでしょう。

一方で、マナーは“お互いさま”です。迎える側も、それらを想定して十分なトイレットペーパーや除菌消臭スプレーなどを置いておき、『自由に使ってね』とひと声かけて差し上げると、相手は使いやすくなりますね。

絶対に行ってはいけないことは、備え付けられているペーパー以外の物を流すことです。詰まってしまっては大変な迷惑をかけてしまいます。また、トイレットペーパーを使用するときに大きな音を立てないよう、静かにゆっくりとペーパーを取りましょう。その音を不快に思う人もいます」

Q.その他、人の家でトイレを借りる際に注意するとよいことはありますか。

西出さん「使用後に洗った手を拭くハンカチは持参して行くとよいでしょう。また、トイレを借りた後に、例えば『トイレットペーパーを使い切ってしまった』とか『物を壊してしまった』といったことが発生したときには、ただちにそのおうちの方に伝えましょう。言いにくいと思うこともあるかもしれませんが、黙ってそのままにされるよりは、教えてもらう方がすぐに対応できますし、その後の関係性においても、曇りなくお付き合いができることにつながります。また、使用後は『ありがとうございました』とお礼を伝えることも忘れずにいたいですね」

(オトナンサー編集部)

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと1999年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、16万部を超える「改訂新版 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(プレジデント社) など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」「かつてない結果を導く 超『接待』術」(共に青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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