新ジャンル「金麦」の売り上げ好調、なぜ? 酒税改正の影響は? サントリーに聞く
新ジャンルの市場が落ち込む中、サントリーが販売する新ジャンル「金麦」の売り上げが好調です。その要因について、同社に聞きました。
サントリー(東京都港区)が販売する新ジャンル「金麦」の売り上げが好調です。同社によると、2023年1月から9月の新ジャンル市場全体の推定の出荷実績は前年比12%減と落ち込む中、同時期の金麦の出荷実績は前年比1%増となりました。なぜ金麦は好調を維持しているのでしょうか。
また、10月から酒税が改正され、新ジャンルの税額が350ミリリットル当たり約10円上がりましたが、今後、商品の売れ行きにどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。金麦がロングセラーとなった要因や酒税改正の影響について、同社のビールカンパニー マーケティング本部 ブランド戦略部の斎藤圭世さんに聞きました。
四季によって味わいを変化
サントリーが「金麦」を発売したのは、2007年6月です。斎藤さんによると、新ジャンル発売当初の2005年頃は、「ビールよりも質が劣る酒」「グループで集まったときにわいわい楽しみながら飲む酒」といったイメージが強く、そうした傾向にチャンスを見いだしたと説明。
そこで、「食事によく合う、良質な新ジャンル」「自宅でゆっくりとお酒を楽しみたい人に寄り添う」をコンセプトに開発を始め、金麦を完成させたということです。
その後、金麦は順調に売り上げを伸ばし、累計販売本数は、2023年9月時点で170億本(※2007年~2023年の限定品を含む金麦シリーズ缶商品の累計出荷実績。350ミリリットル換算)を超えました。現在も売れ続ける要因として、発売後、リニューアルを重ねながらも、「食事によく合うお酒」のスタンスを維持してきたことだと強調しました。
食事に合う味を生み出す秘訣(ひけつ)は、麦のうまみを維持しつつ、「四季に応じて、味をととのえる」ことだということです。
斎藤さんは、「季節によって旬の食材や気候が異なることから、さまざまな料理に合う金麦を提供するには、四季に応じて都度、味わいを変化させる必要があります。そこで、『春はかろやか、夏はさわやか、秋はまろやか、冬は豊か』というコンセプトで、当社の醸造担当者が『麦の味感』と『刺激感』を微調整した上で販売しています」と明かしました。
また、「金麦の味わいの評価は年々上がっています。例えば、消費者の皆さまに、商品名を伏せた上で、市販のビールや新ジャンルを飲み比べていただく調査を行いましたが、金麦は味わい評価で上位にランクインしました」と、自信をのぞかせています。
今後、気になるのが、酒税改正による影響です。酒税改正でビールの税額が約7円下がった一方、新ジャンルの税額が約10円上がり、ビールと新ジャンルとの価格差が縮まりつつあります。
斎藤さんは、その件について、「酒税改正前の9月に新ジャンルを買いだめする動きがあったため、その反動で年内に金麦の販売本数が一時的に下がる可能性はあります」と回答。
一方、「今後、新ジャンル市場で競争が激しくなる可能性はありますが、当社の金麦ブランドは多くのお客さまから支持をいただいております。今後も、麦のうまみにこだわった“幸せな家庭の食卓に最もふさわしい金麦”として、さまざまなプロモーションを展開するなど、力を入れていくことで、酒税改正後も引き続き、支持をいただけると考えています」と、話しました。
金麦はさまざまな料理とよく合いますが、特に「肉じゃが」などの煮物のほか、すき焼きといった、だしやしょうゆが効いた料理と相性が良いということです。煮物や鍋料理を食べる際は、ぜひ金麦を飲んでみてはいかがでしょうか。
(オトナンサー編集部)
コメント