しっかり者と結婚→実は“ポンコツ妻”…結婚後に直面する「理想と現実の差」にどう向き合うか
結婚後、パートナーに対して「こんなはずじゃなかった」と感じたことはありませんか。結婚に突きつけられる「理想と現実の差」について、2つの事例をもとに深掘りします。

「こんなはずじゃなかったです」。結婚後のご夫婦からよく聞く言葉の一つです。「結婚前は◯◯だったのに」「あんなに◯◯だったはずなのに」とパートナーの過去の様子と現在を比較する言葉の数々……人の心は移ろいやすく、年月による環境や元気度の変化で、感じ方や考え方が変わっても不思議はないのです。
しかし、本人が変わったわけではなく、一方が単に「私の相手はこんな人だ」と思い込んでいたとしたら――。「恋人・夫婦仲相談所」所長の私が知る、2組のご夫婦を見ていきましょう。
「掃除好き」だと思っていた夫、実は…
美香さん(44歳、仮名)は、7年付き合った同い年の鷹さん(仮名)と結婚しました。長く付き合ってはいましたが同棲(どうせい)はしていません。美香さんが鷹さんの家に遊びに行くと、家はいつも整理整頓されていて、とても清潔でした。美香さん自身は掃除が苦手で、特に水回りの掃除は面倒くさいタイプ。鷹さんが家に来るときだけ、いいところを見せたくて丁寧に掃除をしていたそうです。
そして、フルタイムで忙しく働く2人の結婚生活が始まりました。食事面では、朝食は鷹さんがプロテイン、美香さんはコーヒーのみ。昼食は、平日は買い置きした冷凍食品。休日、家にいるときには、昼ご飯は夫が麺類を作り、夜ご飯は妻が担当。平日の夜ご飯は、早く帰った方が食べたいものを作る、というルーティンに落ち着きました。
洗濯については、なぜか鷹さんにこだわりがありました。洗濯機と乾燥機を回して洋服をたたむところまで夫が行い、それを妻がそれぞれの場所に収納するというルーティンです。ここまでは納得いく形で進んでいました。
そして問題の掃除です。結婚前に、整理整頓されていた鷹さんの部屋を見ていた美香さん。夫は結婚しても積極的に掃除をすると期待していました。しかし、期待は裏切られます。
休日にまとめて掃除機をかけたり、お風呂を磨いたりする美香さんの横で、夫は知らんぷり。結婚初期は「疲れているのかな」「そのうちやってくれるよね」と思っていましたが、一向に変わりませんでした。
3、4カ月ほどたったときに、とうとう美香さんがキレます。「何で掃除しないの? 私だって好きでやってるわけじゃないんだよ」。すると夫はものすごく驚き、「好きでやっているんだと思っていた」と。
美香さんは「1人暮らしのときは、あなたの部屋がとてもきれいだったから、あなたこそ掃除が好きだと思っていた」と愚痴を言いました。それに対して、夫の口から出た説明は意外でした。
実は、鷹さんは掃除が苦手で「全て業者にお願いしていた」というのです。「そんなことでお金を使うのは浪費男」と思われるのが嫌で、あえて言わなかった、と。
「美香の家はいつもきれいだったし、結婚後もまめに掃除しているから、好きなんだと思ってた」
「そんなわけないでしょ。面倒くさくてしょうがないわよ。掃除も半分ずつやろうよ」
鷹さんは「じゃあ業者に頼めばいい」とひょうひょうと言います。
結局、掃除機をかけるのは2人で交互に行い、水回りは週に1回ハウスキーパーさんにお願いすることにしたそうです。早く正直に話をすればよかったと美香さんは反省しました。
「でも経済的にはきついです。夫は『他の家事も外注しよう』と言い始めました。お金の使い方も、ちゃんと話さないとけんかになりそうです」と、また悩みが増えました。
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