半袖でもいい? クールビズはOK? フォーマルシーンで迷いがちな「夏の服装マナー」の疑問、マナーコンサルタントが解説
暑い夏は、葬儀や面接といったフォーマルな場面での「服装」に悩みがち。「長袖を着るべき?」「クールビズは?」といった疑問に、マナーコンサルタントが答えます。
今年の夏も連日、厳しい暑さが続いています。夏は、冠婚葬祭をはじめ、「服装」について気にするシーンが意外と多いもの。例えば、「夏の葬儀、クールビズでもいいの?」「暑いけど、面接のときはスーツじゃないとダメ?」など、迷ったことはありませんか。
そこで、フォーマルシーンで迷いがちな「夏の服装マナー」について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんが解説します。
(1)夏の葬儀での「喪服」
夏場の葬儀参列時の服装については、よくある悩みの一例として、「半袖でもいいの?」「ジャケットはやはり必要?」「クールビズは?」「夏の葬儀特有のマナーはある?」といったものがあるかと思います。
葬儀では、「故人への感謝」と「ご遺族への配慮の心」が大前提です。故人やご遺族が不快に思わない服装を心がける気持ちが大切です。
夏の喪服は、素材が涼しいものを選ぶとよいですね。僧侶にも夏用の法衣があります。
葬儀に参列するときには、涼しい素材の長袖のジャケットがあれば安心です。冷房が効き過ぎていると、ジャケットを羽織ることで冷え対策にもなりますから、夏用の喪服が用意できなくても、ジャケットは準備しているとよいでしょう。葬儀の場においては、肌の露出を少しでも控えた方がよいため、女性の方でジャケットが難しい場合は、黒いストールを肩からかけるだけでも印象は変わります。
これらの準備が難しい場合、無理をすることはありません。暑すぎて体調が悪くなっては本末転倒です。自身の体調にも配慮してくださいね。
出棺時は、暑い外でのお見送りとなります。汗がシャツにつかないように、汗取りインナーを着用するなどの工夫で、周囲の人も自分自身も快適になれます。
なお、クールビズにするかどうかは、自身の判断によると思います。道中はネクタイを外していたとしても、冷房の効いた室内で参列するときには黒いネクタイをしてジャケットを羽織ると、故人やご遺族に対する敬意がいっそう伝わることでしょう。
「半袖」のワイシャツを着ることについては、先述の通り、自身がどう考えるのか、また体調を優先してどのようにするのかを、自身で選択すれば問題はないでしょう。個人的には、暑くて長袖を着ることが大変だと感じる方は、着用してよいと思います。ただし、会場で自分一人だけが半袖のシャツだと目立ってしまいます。そうした事態も考え、ジャケットを持参して周囲に合わせるというのがマナーの考え方です。
葬儀は、故人との今世における最期の対面の場です。関係性に応じて、敬意を服装に表すという気持ちは忘れずにいたいものです。
(2)夏場の就職活動、転職活動における「面接時の服装」
夏場の面接時の服装については、「シャツは長袖でないとダメ?」「ジャケットはやはり必要?」「クールビズはOK?」といった悩みがよく聞かれます。
就職活動の服装は、その企業からの指定に従うことが賢明です。スーツでなくてもいい場合は、それでいいわけですし、「クールビズで」と言われたら、軽装でネクタイはしなくてもよいとなりますね。
インナーは、ジャケットを脱がなければ分かりません。そのため、暑い夏は長袖でなくてもいいと思います。ただし、本来、ワイシャツの袖はジャケットから1〜2センチ出すのが理想です。もともとワイシャツは下着代わりだったため、ジャケットの袖口を汚さないための配慮に基づく考え方から来ています。
これにのっとれば、「長袖を着る方がよい」と思われますが、人の受け取り方は千差万別です。気になる人は、長袖の方が安心といえます。繰り返しますが、「長袖でなければダメ」といえることではないでしょう。
夏場の汗問題は誰もが悩むところです。汗をかいていると、それを見る人も、自分自身も不快に感じるかもしれません。葬儀も面接も、会場に汗だくで行くよりは、少し早めに現地に到着し、汗を拭いたり、涼む時間を取ったりしてから会場入りするとスマートですし、自身も落ち着きます。汗を拭くウエットティッシュや携帯用扇風機も携帯しておくと便利です。また、先述同様、汗取りインナーを着用するなどして、対策を取るといいですね。
マナーの型はさまざまありますが、本来、マナーとはお互いに相手の立場に立つ思いやりの心です。相手のことを考え、訪問する側も迎える側も、それぞれの立場で相手をおもんぱかることで、問題やトラブルは発生しないもの。マナーを備えることで、安心して本来の目的に注力することができるでしょう。マナーは、状況や相手との関係性などに応じて、その型が変化するものなのです。
(オトナンサー編集部)
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