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売れない土地を国が引き取る? 新制度「相続土地国庫帰属制度」って何? 利用するメリット&デメリット、専門家が解説

専門家が「制度の利用を勧めたい」のはこんな人

Q.専門家から見て、「実は、こういう人に同制度の利用を勧めたい」という人の条件・共通点はありますか。

松尾さん「勧めたいケースの1つ目は、『親は使っているけど、子は使わない』という家族、そして2つ目は、『土地の管理や責任を負えない(負いたくない)』家族です。

この両者でよく見かける共通点は、『親は自分が使ってきたので、大切な“資産”として見ている』ことと、『子は使わないのに、売れず、手放せない土地だから“負担”として見ている』ことです。考え方のギャップがあることが分かっていても、資産として見ている親に対して、子は『生前に処分して』とはなかなか言いにくいのです。この制度を知っていれば、親の相続で取得してからこの制度を利用し、国庫帰属することで、売れずに困ることがありません。

次に挙げるのは、よくご相談を受けるケースです。

・地方に実家があり、高齢の親が周辺に山や畑を持っている
・子は実家から離れた都市部で家族を持ち、仕事をしている
・実家や山などは使う予定がないので、相続税や管理負担などのことを考えると、子としては『できれば親自身に、今のうちに処分してもらいたい』と思っている
・しかし親は、『山や畑は手に入らない財産だ』と相続させる気満々

国庫帰属制度の存在を知ることで、親に対して『生前に何とかしてほしい!』ときつく言う必要がなくなり、『ギスギスした雰囲気がなくなった』というご家族もいます。土地の管理や責任は、土地を所有している限り続くので、『遠方に住んでいて管理ができない』『雑草除去や建物の修繕にお金をかけられない』という場合にも勧めたい制度です」

(オトナンサー編集部)

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松尾企晴(まつお・きはる)

プロサーチ代表取締役、LandIssues代表取締役、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、相続診断士(R)、宅地建物取引士など

不動産賃貸管理会社に5年間勤め、2008年に「不動産を所有し、相続や税に悩む人の問題解決」を専門とするプロサーチに入社。2017年より同社代表取締役。不動産業界ではいち早く「家族信託(R)」を取り入れた提案を実践しており、証券会社や生命保険会社、不動産会社などへの不動産相続に関する研修会、プロやお客さま向けのセミナー講師も行う。家族信託(R)をはじめ、借地や底地、生産緑地などの不動産対策、CF改善、相続対策など幅広いジャンルに精通し、これまで5000人以上の悩みや不安を解決。「話をじっくり聞く」「お客さまの在りたい姿を引き出す」という、提案ありきではない姿勢に定評がある。特定の商品に誘導しない公平なアドバイスは、同業や士業、生命保険営業の専門家からも喜ばれている。さらに、2020年には、引き取り手のいない不動産の問題解決のため、LandIssues(ランドイシューズ)を設立。遊休不動産を再生させ、日本を元気にするために日々活動をしている。プロサーチ(https://www.pro-search.jp/)、LandIssues(https://land-issue.com/)。

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