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よく聞く「安産型」ってどういう体形? 「安産」になるの本当? 産婦人科医に聞いてみた

お尻が大きい女性の体形を指す「安産型」という言葉。「出産が楽」というイメージを持たれることが多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。産婦人科医に聞いてみました。

「安産型」は本当に安産になる?
「安産型」は本当に安産になる?

 骨盤が広くしっかりしていて、お尻が大きい女性の体形を指す「安産型」という言葉があります。「安産型=出産が楽」ともよくいわれるため、そうした認識を持つ人は少なくないようですが、「本当に安産なの…?」「お尻の大きさがどう関係あるの?」といった疑問の声も聞かれます。

「安産型」は実際のところ、本当に「安産」になるのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

「安産型」の骨盤は「女性型」

Q.そもそも、「安産」とは何ですか。一般的にどのようなお産が「安産」といえるのでしょうか。

尾西さん「実は、『安産』に関する医学的な定義はありません。ただし、一般的には(1)分娩にかかる時間が長くないこと(2)痛みが強くないこと(3)トラブルなく赤ちゃんが生まれてくること―を『安産』と呼んでいます。

分娩には『3要素』と呼ばれる、スムーズに赤ちゃんが生まれるための要素があり、『娩出力』(生み出す力)、『産道』(赤ちゃんの通り道)、『娩出物』(赤ちゃんや胎盤)とされています。この3つが整うことが、安産の条件です。

つまり、(1)しっかりといきむ力がある(2)骨盤が広く、膣に余分な脂肪などがない(3)赤ちゃんが骨盤に対して大き過ぎない―ということです。お母さんの背が低かったり、妊娠中に過度に体重が増えたりした場合は、(2)や(3)のリスクとなります」

Q.「安産型」と呼ばれる女性の骨盤の型とは。

尾西さん「女性の骨盤の型には、『女性型』『細長型(類人猿型)』『男性型』『扁平(へんぺい)型』があり、いわゆる『安産型』といわれる骨盤は『女性型』に当てはまります。『女性型』は上から見るとリンゴ型をしており、横が縦よりごく少しだけ長い、一般的な女性の骨盤型です。

お尻が小さく、ズボンの似合う体形の『細長型』や『男性型』は、赤ちゃんが骨盤内でうまく回転(回旋)できなかったり、降りてこられなかったりするリスクが高くなります」

Q. 「安産型=出産が楽」と認識している人も少なくないようです。

尾西さん「『女性型』の骨盤なら必ず安産になるというわけでもありませんが、そもそも骨盤の形や背の高さは生まれつきのものであり、どうなるというものではないので、その他の部分で『安産』になるようサポートするのが重要です。

例えば、骨盤がゆがんでいるとさらに狭くなってしまうので、『足を組まない』『片方の肩にばかりバッグをかけないなど、骨盤がゆがまないような生活をする』『しっかりいきめるように下半身の筋力をつけておく』『膣に脂肪がついて狭くならないよう、体重の過度な増加に気を付ける』などがポイントです。

また、妊娠糖尿病になると赤ちゃんの肩に脂肪がついて大きくなり、難産になるので、妊娠中に糖尿病の可能性を指摘された人は、食事指導をもとに血糖管理をしっかりと行いましょう」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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