「あんなに価値観が合っていたのに…」 “結婚に向けた話し合い”で別れた30代カップルに“足りなかったもの”
結婚を考えているカップルに求められる「結婚前の話し合い」。意見の擦り合わせの過不足によって危機に陥った2つの事例を紹介します。

結婚前の意見の擦り合わせ、要望出しはとても大切です。人生を共に生きる相手なら、お互いの価値観をしっかりと認識しあっていなければいけません。それをせず、感情の高まりに任せて結婚し、トラブルとなり、果ては泥沼離婚……という夫婦を何組も見てきました。
しかし、話し合いをすればそれでいいのかというと、「それはまた別」といったこともあるようです。それぞれのパターンを見ていきましょう。
お互いの思い込みが不幸な結果に
雅美さん(36歳、仮名)と幸則さん(38歳、同)はマッチングアプリで出会いました。結婚を強く望んでいた2人だったので、意気投合し、お付き合いからわずか6カ月で結婚しました。雅美さんは「結婚したらすぐに子どもをつくるのは当然」という思考。年齢的にも今しかありません。
しかし、幸則さんの意見は違いました。お互いの収入があって生活が成り立つのだから、「子どもが欲しいならしっかりと貯金をしてから」と言うのです。結婚当時34歳だった雅美さんは「年齢的に不安がある」と伝えますが、生活レベルを絶対に変えたくない幸則さんは納得しません。「1年かけて2人で貯金をして、それから妊活しよう」とかたくなです。雅美さんはしょうがなくそれを受け入れました。
ところが1年後、幸則さんの会社の業績が悪化し、彼は年収を下げて転職。幸則さんは余計に、子どもをつくることに及び腰になります。転職したばかりで仕事がうまくいくか分からない中、雅美さんの収入がなくなるのは不安なので、「また1年、様子を見させてほしい」と言うのです。夫の優しい性格も慎重なところも大好きな雅美さんでしたが、子どもが欲しいという思いが人一倍強くあるため、真剣に悩むようになります。
そして、彼女はとうとう暴挙に出ます。離婚を視野に入れ、マッチングアプリで再婚相手を探し始めたのです。
「子どもが欲しいんです。不妊治療をして、結局妊娠できなかった先輩たちの話を聞いていると怖くて。不妊治療はできればしたくない。お金がかかって難しいから。
彼のことは大好きです。でも、自分の子どもを産むという夢には代えられません。『結婚を望んでいる彼だから当然、すぐに子どもも欲しいと思っている』と思ったのが間違いでした」
離婚したら、妊活どころか再婚活動を開始しなければいけないのに。常識から外れた行動に気付かないほど焦る雅美さんに、私は注意を促しました。
雅美さんは結局、離婚はしないまま、子どもがいない結婚生活を続けています。
「離婚しても、また結婚してくれる相手がアプリですぐ見つかるか分からない。子どもは欲しいので、生活費を削ってでも子どもをつくりたいと夫に言ってはいますが、2人とも、その話題に疲れてきました」と元気がない様子でした。
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