華やかな正月飾り「門松」を飾る場所&時期は? “正しい飾り方”を和文化の専門家に聞く
日本の正月を代表する華やかな飾り「門松」。意外と知らない正式な飾り方について、和文化の専門家が解説します。
2023年の正月が近づいてきました。日本の正月は玄関先にさまざまな飾りを施しますが、中でも、ひときわ華やかなのが「門松」です。この門松については、「正しい飾り方はある?」「喪中だけど、飾ってもいいのかな」といった疑問の声も聞かれます。
意外と知らない「門松」の正式な飾り方について、日本礼法家元で令和椿和文化協会会長の椿武愛子(つばき・むつこ)さんに聞きました。
12月13日〜28日までの間に飾る
Q.門松の意味や由来を教えてください。
椿さん「門松は年神様(としがみさま)が迷わずに家へ来ていただくための目印となるものです。平安時代、1年で最初の『子(ね)』の日である『初子(はつね)』に外出して、うたげをする際、松の小さな木を根から引き抜いて持ち帰り、玄関に植えたのが由来とされています。
現在の門松は主に松と竹、そして、梅からできています。松は『神様が宿る木』であると考えられていること、竹は長寿を願うものとして縁起がよいこと、梅は春に先駆けて、『初めに咲く花』であり、紅白でおめでたい意味があることから、年神様を迎えるのにふさわしいとされているためです」
Q.門松の正式な飾り方とは。
椿さん「門松は玄関の門の前に飾るのが正式です。外からの邪気や魔を防ぎ、年神様が降りてくるにふさわしい家の状態をつくるためなので、外と内を隔てる境界の部分に飾りましょう。方角に決まりはなく、家の外に向けて正面に飾ります。最近では、小さいサイズの門松を玄関内に飾るケースもあるようですが、家の中ではなく、外に飾るのが基本です。
飾る時期は『正月事始め』の12月13日から同28日までの間に飾るのが好ましいです。同29日は『二重苦』と読めるため、また、31日は年神様を迎えるにあたり、一夜だけ飾る『一夜飾り』となって、葬式を連想させるため、さらに30日は旧暦の大みそかで、やはり、『一夜飾り』となるため、いずれも好ましくありません」
Q.喪中の場合でも、門松を飾ってよいのでしょうか。
椿さん「飾るのを控えた方がよいです。しめ縄や門松、鏡餅といった正月飾りは神道の習慣であり、神道の忌明けとなる『五十日祭』以降は飾っても問題ないという意見もありますが、一方で『喪中の1年は喪に服すべき』と考える人も多いです。そのため、家の外には正月飾りを飾らない方がよいといわれています」
Q.飾り終えた門松はどうすればよいですか。
椿さん「しめ縄飾りなども含めた正月飾りは、年神様が家におられる『松の内』を過ぎる1月8日から15日の間に片付けるとよいとされています。年神様は神社の境内で正月飾りを火にくべて、焼き払う行事『どんど焼き』(『どんと焼き』などとも)の火祭りの煙に乗って、天に帰るとされているので、飾り終えた門松はどんど焼きへ持っていき、おたき上げをしてもらいましょう。
なお、正月飾りにはさまざまな素材で作られた装飾がついています。昨今はSDGsの観点もあり、どんど焼きに持っていく際には、あらかじめ分別をしておくとよいでしょう」
(オトナンサー編集部)
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