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お正月に飾る「門松」、なぜ「3本の竹」? 切り口の違いの意味は? 和文化の専門家に聞いた

日本の正月を代表する華やかな飾り「門松」。3本の竹を組み合わせた形状をしているのはなぜなのでしょうか。和文化の専門家に聞きました。

門松はなぜ「3本の竹」?
門松はなぜ「3本の竹」?

 2023年の正月を迎えました。日本の正月を象徴する、華やかな飾りといえば「門松」です。門松は3本の竹を組み合わせた形状をしていますが、なぜ竹が3本なのかをご存知でしょうか。門松にまつわる素朴な疑問について、日本礼法家元で令和椿和文化協会会長の椿武愛子(つばき・むつこ)さんに聞きました。

竹の長さは「縁起物の比率」に

Q.そもそも、門松にはどんな意味や由来があるのですか。

椿さん「門松は年神様(としがみさま)が迷わずに家へ来ていただくための目印となるものです。平安時代、1年で最初の『子(ね)』の日である『初子(はつね)』に外出して、うたげをする際、松の小さな木を根から引き抜いて持ち帰り、玄関に植えたのが由来とされています」

Q.門松に使われる竹はなぜ「3本」なのですか。

椿さん「日本では陰陽道(おんみょうどう)の考え方から、奇数は縁起のよいものとされてきました。門松の竹の『3本』は2で割り切れない縁起のよい数であることに加え、3本それぞれの長さの比率は7:5:3で、同じく、2では割り切れない縁起物の比率になっています。

また、門松の裾の『荒縄』を巻く回数も下が7回、中が5回、上が3回と決まっています。最も長い竹と7回巻いた荒縄は『男性』、最も短い竹と3回巻いた荒縄は『女性』、そして、中間の長さの竹と5回巻いた荒縄は『男女の仲を取り持つ』という意味を表しています。つまり、円満の意味を込めて、3本の竹を飾るようになったのです。

Q.門松には、竹の切り口が「斜めに切ったもの」と、「水平に切った筒状のもの」があります。この両者の違いは何ですか。

椿さん「諸説ありますが、竹を斜めに切った門松には『お金がたくさん入ってくるように』との意味合いが込められており、商売繁盛を願う商店や企業(のビル)で多くみられます。一方、水平に切った筒状の竹を使った門松は『お金が出ていかないように』との意味合いがあり、銀行や証券会社などで飾られることが多いです」

Q.門松における、地域性の違いはありますか。

椿さん「関東での基本の形は、短めに切った松を3本の竹の足元に生け込み、こもで包む形です。関西では、長めの松を3本の竹の足元に生け込み、ササや葉ボタンなどを配して足元を竹でまきます。

お正月に関東と関西を移動する機会のある人は、街中の門松の形を見比べてみると面白いかもしれません」

(オトナンサー編集部)

【写真】関東と関西でこんなに違うの!? それぞれの「門松」を見比べてみた!

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椿武愛子(つばき・むつこ)

日本礼法家元、令和椿和文化協会会長、ビジネスマナーコンサルタント

北海道釧路市出身。戸板女子短期大学生活科卒業。結婚後、国内における東西のマナーや風習の違いを肌で体感し、主婦の傍ら、作法・和・洋テーブルマナーを学び、日本礼法会教授資格を取得。1988年から、札幌でイベント企画を手掛け、自らも司会やマナー講師として活動。現在、椿武愛子オフィス代表として各種マナー講習会や講演、企業向け接客マナー研修に携わりながら、多様な和文化を伝えていく活動を行っている。令和椿和文化協会(https://www.tsubakimutsuko.jp/wabunka/)。

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