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10月24日は「マーガリンの日」 バターとの違いやカロリー、使い分け方を管理栄養士に聞く

10月24日は「マーガリンの日」です。マーガリンの生みの親であるフランス人の誕生日にちなんだ日とのことですが、マーガリンはバターとまったく同じように使えるのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

マーガリンとバターの違いは?
マーガリンとバターの違いは?

 10月24日は「マーガリンの日」です。マーガリンの生みの親であるフランス人の誕生日にちなんだ日とのことですが、日本では、マーガリンのことをバターと混同している人もいるようで、SNS上には「『じゃがバター』を買おうとしたら、『マーガリン使用』と書いてあった」といった投稿もあります。マーガリンをバターの代わりにパンに塗る人は多いと思いますが、料理を作る際もバターとまったく同じように使えるのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

軽い仕上がり好みならお勧め

Q.バターとマーガリンの違いを教えてください。原料などについてお願いします。

岸さん「バターとマーガリンの大きな違いは原料、製法です。バターは牛乳由来の動物性脂肪を原料としており、牛乳からクリームを分離してかき混ぜることで、乳脂肪を凝集させた天然の固形油脂です。

一方、マーガリンは大豆油や綿実油(めんじつゆ)、コーン油などの植物性脂肪からつくられています。植物性脂肪に乳化剤や香料を加え、水素を添加するなどして人工的に固形化させたものです」

Q.カロリーなど栄養面の違いも教えてください。

岸さん「1食あたりの分量10グラムで比較すると、カロリーはバターが76キロカロリー、マーガリンは低脂肪タイプのものを含め63~76キロカロリーと商品のタイプによって幅があります。栄養的には、バターには牛乳由来のビタミンAが含まれる一方、マーガリンは植物油由来のビタミンEを含むほか、ビタミンAを添加した商品があります。コレステロールはバターが21ミリグラム、マーガリンは0.1ミリグラムとバターの方が多くなっています。

マーガリンをはじめ、『ファットスプレッド』や『ショートニング』といった、人工的に水素添加で固めた油脂は『トランス脂肪酸』が製造過程でできることで、過剰摂取による心疾患リスクや、LDLコレステロールの上昇など、健康への影響が懸念されています。しかし、最近では、水素が添加されていない商品が増え、各社製品でトランス脂肪酸の低減化が進んでいます」

Q.マーガリンをバターの代わりに使って料理を作った場合、同じように仕上げられるのでしょうか。

岸さん「バターの代わりにマーガリンを料理に使うことは可能です。例えば、ホワイトソースの場合、見た目は同じように仕上げることができます。ただし、バターが持つ風味やコクはマーガリンでは出せません。もっとも、軽い仕上がりが好みであれば、問題ないでしょう。練り込みやすくホイップしやすいようになったケーキ用マーガリンなど、マーガリンでもお菓子作りに特化した商品もあります」

Q.マーガリンが向く用途、向かない用途を教えてください。また、向かない用途の際に風味などをカバーする方法があればお願いします。

岸さん「マーガリンは元々、バターの代替品として開発され、お菓子やパンの製造で幅広く使われています。サクサク感、ふんわり感など食感のよさや軽い口当たりを生み出したり、素材の持ち味を生かした仕上がりにするために使ったりと重宝されています。

一方で、濃厚な香りが求められる料理や用途、例えば、バターソースやお菓子の香り付け、あるいはコクのあるリッチな味わいに仕上げたい料理にはマーガリンは適さず、やはり、バターを使うことをお勧めします」

Q.マーガリンのメリットを教えてください。

岸さん「値段がバターより安く、供給が安定していることです。バターは牛乳の生産量の減少などで価格が高騰したり、供給量が不足したりすることがあります。冷蔵庫に入れても固くならず、バターと比べやわらかく滑らかなので、トーストに塗ったり、サンドイッチを作ったりする際には、便利で使い勝手がよいのもマーガリンのメリットでしょう」

Q.逆に「この用途はバターの方がいい」というものがあれば教えてください。

岸さん「先述した通り、バターは特有の風味が味付けの要になる場合が多く、ラーメンに加えたり、料理の仕上げにプラスしたりすることで豊かな味わいが生み出せます。フランス料理では、ソースのつなぎに冷たいバターを入れて乳化させるという使い方もあります。バターは加熱しても風味を損ねないので、コクや風味が大切な洋食や、煮込み料理、お菓子作りにピッタリです」

Q.バターとマーガリンを混同している人は意外と多いようです。

岸さん「バターとマーガリンは用途が似ているため、マーガリンをバターの代替と捉えている人もいらっしゃいます。価格も安く使い勝手がよい、植物性で健康的とのイメージで、あえて、マーガリン派も存在するのではないかと思います。

マーガリンといえばトランス脂肪酸の体への影響について近年周知されてきているように感じます。しかし『トランス脂肪酸=マーガリン』ではなく、各商品のトランス脂肪酸の含有量は減少傾向にあります。日本人はもともとトランス脂肪酸の摂取量が比較的少なく、よほど食べ過ぎなければ取り過ぎることは多くないでしょう。

ただ、お菓子、菓子パン、カップ麺、植物油脂等の加工品に幅広く添加されているのは確実で、これら加工品を好んで日常的に食べる生活の人は、なるべく摂取量は減らした方が賢明だと思います。

バターにせよ、マーガリンにせよ、日本人の食生活は脂質全体の摂取量が増えているので、積極的に摂取するものではありません。先述したようにバターは濃厚な味わいと豊かな風味、口溶けのよさが最大の魅力です。一方、マーガリンは軽めの口当たりと主張が少なく、あっさりとした味わいが持ち味です。お好みや用途で使い分け、適量の範囲で楽しむことが大切です」

(オトナンサー編集部)

【バター派? マーガリン派?】好みで使い分けたい料理を見る

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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