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人の気を引きたがる「かまってちゃん」、その行動の原因を専門家に聞く

人の気を必要以上に引こうとする行動を取る人、いわゆる「かまってちゃん」は、なぜそうした行動をするのでしょうか。

「かまってちゃん」の行動の原因は?
「かまってちゃん」の行動の原因は?

 友人や職場の同僚など周囲を見回すと、褒められたり注目されたりしたいがために、人の気を必要以上に引こうとする行動を取る人が、少なからずいるのではないでしょうか。いわゆる「かまってちゃん」と呼ばれる人ですが、なぜそうした行動をするのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

成育歴に関係か

Q.「かまってちゃん」の特徴(定義)を教えてください。

小日向さん「『かまってちゃん』とは、自分に注意を引き寄せたがる言動をする人を指して使う俗語(スラング)です。具体的には、自慢、自分の不幸話、病気アピールなど過剰な自己演出をする、他人に執拗(しつよう)に絡む、といった言動があります」

Q.どのような性格の人が「かまってちゃん」になりやすいのですか。

小日向さん「幼少期の成育歴が『かまってちゃん』になるかならないかに大きく関係しています。一つは『ネグレクト(育児放棄)』。これは幼少期に愛情が不足してしまったため、成年期以降に愛情を欲しがってしまうものです。もう一つは『条件付きの愛』。これは例えば、テストで100点を取ったときだけ褒めてくれる、親の言う通りに行動していれば親の機嫌がよいといった『条件付きの愛情』で育てられた場合、成年期以降に愛情を欲しがってしまうものです。

2つの根底には、満たされなかった愛を渇望する心理があります。なお、親が子どもの言いなりで、我慢を教育せずに育てた場合も、一部には『かまってちゃん』行動をしやすくなる傾向がありますが、このタイプは『自分はもっと愛されるべき』という自己愛の肥大化が要因になっているため、『わがままな人』というくくりで語られることが多いです。そのため、俗にいう『かまってちゃん』は、幼少期にもらえなかった愛を欲しがるタイプの人の言動を指すケース場合が多いといえます」

Q.「かまってちゃん」が人の気を必要以上に引こうとするのはなぜですか。

小日向さん「人間はオムツがぬれたら泣き、おなかがすいたらぐずり、欲しいものがあるとじだんだを踏むといった、わがままいっぱいの幼少期に、『それでも愛される』という体験をすることによって、『自分はあるがままで存在してよい』という自己を肯定する感情を醸成していきます。しかし、前述したように、『かまってちゃん』にはその体験が希薄です。

そのため、SNSなどで『リア充』をアップし続ける、周囲をわざと困らせて常に意識を自分に集中させるなど、他者から関心を持ってもらうことで、自分の存在を確認します。はた目には、必要以上に気を引こうとしているように映る『かまってちゃん』ですが、本人にとっては自分の存在確認のために必要な行為なのです」

Q.男性よりも女性に「かまってちゃん」が多い傾向があると聞いたことがあります。なぜでしょうか。

小日向さん「女性の方が『かまってちゃん』が多いとよく言われていますが、その理由は大きく2つあると考えます。一つは社会的概念です。女性の『かまってちゃん』な言動は、男性にとって『甘えたがり』というかわいらしさとして捉えられることもあるのに対し、男性の場合は両性からネガティブな印象を持たれるため、男性は自分の『かまってちゃん』を隠す傾向にあります。

もう一つは『母と娘』という女性同士の関係です。子どもが男子の場合、母親は息子を恋人のように思い、全てを受け入れて愛する傾向が強いのに対し、女子の場合は娘を自分の人生に重ねて、生き方をコントロールする傾向にあるため、娘はありのままでいられなくなってしまうのです」

Q.男性の「かまってちゃん」と女性のそれとは、何か性質の違いなどがあるのでしょうか。

小日向さん「前述したように、男性は他人からネガティブな印象で見られたくないため、自分の『かまってちゃん』を隠す傾向にあります。そのため、女性の『かまってちゃん』がSNSで不特定多数に対して表現されやすいことに対し、男性の『かまってちゃん』は彼女や妻といった閉鎖された関係性の中で現れることが多いです」

Q.男女にかかわらず、身近に「かまってちゃん」がいて、気を引く行動を取ってくる場合、どのような対処をすれば円満な人間関係を構築できるでしょうか。

小日向さん「『かまってちゃん』には、成育歴が密接に絡んでいます。したがって、『過去も含めてその人と関わりたい』といった深い人間関係を自分が求めているのであれば、共感したり、アドバイスをしたりして『かまってちゃん』が欲しかった愛情を満たすよう関わってあげるのがよいでしょう。それほどの関係を望まない人であれば、適当に受け流すのがよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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