美しい天守、そびえ立つ石垣、往時の城下町…「城の魅力」を小和田哲男氏に聞く
小和田先生、おすすめの城は?

Q.特におすすめの城を挙げてください。「天守ならこの城」「石垣ならここ」といった感じで、お願いします。
小和田さん「天守については、私は松本城(長野県松本市)と松江城(松江市)が好きですね。黒い城が好みです。例えば、姫路城は白いお城の代表的存在で、確かに美しいのですが、黒い方が戦国の雰囲気をよく伝えていると思います。
石垣も見事な城が多いのですが、私が好きなのは、加藤清正の築いた熊本城です。よく、扇の勾配といいますが、石垣の下の方は緩やかで、登れそうだなと思って上に行くと、だんだん勾配がきつくなってくる。攻めにくい石垣です。
伊賀上野城(三重県伊賀市)は、また違った造りで、見事な石垣です。清正と並ぶ築城名人と呼ばれた藤堂高虎が築いた城ですが、一直線に高くそそり立った高石垣です。よくあれだけ高く積み上げたなあ、と感心します。
大坂城の石垣も巨大な石を多く使っており、当時の技術で、あんな大きな石をよく運んだな、と思います。また、金沢城は『石垣の博物館』と呼ばれるほど、石のいろいろな積み方が城内で見られる城です。野面(のづら)積みもあれば、切り込みハギ、打ち込みハギもある。中でも『短冊型石垣』という、まさに俳句などを書く短冊のような形の石垣もあり、これは金沢城独特のものと思われます」
Q.堀や城下町で特徴のある城は。
小和田さん「堀は、山中城(静岡県三島市)がおすすめです。『障子堀』という、少し変わった技法で造られていて、堀底に障壁を残した構造が、今でもきちんと残っています。静岡県島田市にある諏訪原城には、『三日月堀』という、まさに三日月の形に掘られた堀があります。これも武田流築城術の一つです。
城下町は、彦根城(滋賀県彦根市)の町割りがよく残っています。彦根藩の足軽屋敷も残っていて、江戸時代の地図が今でも使えるそうです。武家屋敷がよく残っているのは、岡山県高梁市の備中松山城と、大分県杵築市の杵築城です。『城下町を見に行きたい』という人がいたら、『じゃあ、大分に行こう』と連れていきます。
連れて行って喜ばれる城という意味では、小谷城(滋賀県長浜市)は、曲輪がよく残っていて、おすすめです。島根県安来市にある月山富田城も、余分な木を切ったり、登城路がきれいに整備してあったりして、戦国時代の姿がよく分かる城で、案内すると喜ばれます。
幾つか有名な城を挙げましたが、実は、城の魅力としては『身近な所にもある』ということもあります。今回は主に、戦国期や近世の城についてお話ししましたが、城自体は、古代から明治期にも造られており、日本全体で3万から5万あると言われています。小さなものもありますが、日本各地、いろいろな所にあり、身近な存在という点も、城の魅力だと思います。近くのお城も訪ねてみてはいかがでしょうか」
(オトナンサー編集部)











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