自分の部屋の“意外な”場所で誰かの携帯電話が充電されていた…「盗電」は罪に問われない?
「ガスメーター横のコンセントから電気を盗まれた」という趣旨の投稿がSNS上で話題になっています。しかし、通報しても、まともに扱ってもらえなかったとのこと。こうした「盗電」行為に法的問題はないのでしょうか。

SNS上で先日、家の電気を盗まれる「盗電」に関する投稿が大きな話題となりました。きっかけは「今日僕の部屋の電気が盗られていました 手口なのですが、ガスメーターの横に実はコンセントがあります そこは誰でも開けるのでこっそり電気を盗ることが出来ます 犯人が馬鹿だったのでこの携帯が鳴っていて気づきましたがこんなの絶対分からないです」というツイート。通報したところ「誰がここに指して何時間分電気を盗ったか立証するのが難しいそう」で「注意喚起がせいぜい」と言われてしまい、「めんどくさいので邪険に扱われた」と嘆いています。
投稿者は「なにか賠償金を受け取れるならそれもアリですが」「相手の両親、学校又は勤務先程度の警告通知ぐらいが私のベストな落としどころ」としていますが、「職場同期はアパートの給湯器横のコンセントから盗電されてたことがあった」「これと似たようなことを駅のコンセントで女子高生がして、盗電被害で罰金支払ったって聞いた」などと、さまざまな声が上がっています。
こうした盗電行為に法的な問題はないのでしょうか。オトナンサー編集部では、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
電気が「財物」にあたるかどうか
Q.盗電は何らかの法的責任を問われないのでしょうか。
牧野さん「盗電はれっきとした窃盗罪に該当します。窃盗罪を規定する刑法235条は『他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する』としていますが、ここで問題なのは、電気が他人の『財物』と言えるかどうか。電気は本来『物』ではないので『財物にあたらないのでは』と考えてしまいがちですが、刑法245条は『この章の罪(窃盗罪を含む財産犯)については、電気は、財物とみなす』と、電気を財物とみなしています。つまり、盗電が窃盗罪にあたることに争う余地はありません。民事上、盗電行為は民法709条の不法行為に該当し、盗電者は他人(電力契約者)の権利を違法に侵害したので、それによって生じた損害を賠償する責任を負います。つまり、電気代相当額を電力契約者に賠償する必要があるのです」
Q.実際にあった「盗電」に関する事件や裁判について教えてください。
牧野さん「2010年4月13日の大阪地裁判決では、電気料金の滞納で電気を止められた男性に対して、自己が居住するアパートの共用コンセントから、2円50銭相当(!)の電気を使用してテレビ放送を見ていたとして、懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡しています。最近では、飲食店においても無料コンセントが用意されていますが、客用でない(清掃用などの)コンセントをお店の承諾なく使用すると、理論的には窃盗罪になるため十分な注意が必要です」
(オトナンサー編集部)
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