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マスク、ガンプラ転売ヤーに怒る人たち! その道のプロに聞いてみた

近著に「Amazonせどり確実に稼ぐツボ 51」があるクラスター長谷川さんに「転売」や「せどり」について聞きました。

「転売」「せどり」は悪いこと?
「転売」「せどり」は悪いこと?

 昨年、静岡県議がインターネットオークションにマスクを89回出品。最高で17万2368円で落札され、売り上げが計約888万円に上った出来事がありました。先日はホビージャパン社が、SNSで「転売行為・買い占め行為」を容認するような発言をした社員に懲戒を科したことを公式ツイッターで発表しました。

「転売」や「せどり」は昔から存在する商慣習ですが、そんなに悪いことなのでしょうか。この疑問を解決するために、「転売」や「せどり」に詳しいクラスター長谷川さんに話を伺いました。近著に「Amazonせどり確実に稼ぐツボ 51」(ソシム)があります。

「転売」や「せどり」って何?

「転売」は人気商品を買い占めて、定価以上で売ることをいいます。「せどり(競取り、背取り)」は元々、古書店で相場よりも安く売られている本を買い付けて、ほかの古書店に高く売り、差額で利益を出す商いのことをいいます。ひと言で言うならば、安く仕入れて、利益を乗せて売るのが「せどり」ということになります。

 現在、販売形態はオンラインが主流です。商品も広範囲に及んでいます。販売先はAmazon、楽天ショップ、Yahoo!ショッピングのようなネットから、ヤフオク、楽天オークション、イーベイといったオークション、スマホアプリのメルカリ、ラクマなどへ拡大しています。

「せどり業界では『ライバルが増えてしまって稼げない』『せどりはもう飽和してしまった』『地方だからもうからない』といったことがネット上にたくさん書き込まれています。私は一度たりとも『稼ぐのが難しくなってきた』と感じたことはありません。現在は稼げるツールもあふれ返っているので、昔とは比べものにならないくらい稼ぎやすくなっています」(長谷川さん)

「地方で稼いでいる人に聞くと『地方はライバルが少ないので、せどりをするにはおいしいですよ』なんて言われます。北海道でも沖縄でも数百万円を稼いでいる人がいます。正しくせどりをすれば、日本全国で稼ぐことが可能です」

 稼げる人はどのような環境にいても稼ぐことがうまいようです。さらに、販売するならば、Amazonが効果的だと長谷川さんは指摘します。

「Amazonでは毎月、4000万人以上の人が買い物をするので回転率がいいと言われています。3人に1人が買い物をしている計算ですが驚異的です。また、フィフィルメントという、Amazonが商品の保管や注文処理、出荷、配送、決済、返品なども全てやってくれるサービスが存在します。これを提供しているのはAmazonのみです」

「仕入れ商品をAmazon倉庫に送りさえすれば、あとは、お客さまが欲しい商品を勝手に買っていってくれます。2週間ごとに、売れた商品のお金が振り込まれるのを待つだけです。このサービスを使わずに全ての作業を自分でやるとなると、毎日、発送業務に追われて、利益を生み出すための仕入れの時間がつくれなくなります」

昔からの商慣習ではないか?

 ホビージャパン社の社員が転売を容認したツイートは次のようなものです。問題となったツイートはいくつかありますが、その一つを抜粋します。

「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキットが高く売られてるのが面白くないだけだよね? 頑張って買えばいいのでは? 頑張れなくて買えなかったんだから、頑張って買った人からマージン払って買うのって、普通なのでは」

 マニアから攻撃が集中し、会社は常務取締役編集制作局長など3人を「降格」、編集者を「退職」処分にしました。しかし、この処分には違和感を覚えました。

 ツイッターでの懲戒処分発表は異例です。今回の事由が就業規則に明記されていなければ、違法解雇になる可能性があります。就業規則に「不適切なツイートをしたら、懲戒にする」と書かれているのでしょうか。通常、ツイートは解雇理由に含みません。

 懲戒解雇か諭旨解雇かどうかでも、意味が大きく異なります。懲戒解雇は労働者にとって死刑宣告に等しく、再就職が困難になることから、モメる可能性が高くなります。

 マニアは「転売を許さない」と思っているのでしょうか。手法自体は商品を高く打って、利ざやを稼ぐもので、昔から存在する商慣習です。ダフ屋などもありますが、チケット不正転売禁止法が成立したのでダフ行為はできなくなりました。

 経済活動の中で、安く買って高く売るのは当然のことです。総合商社だってある意味、転売です。高額オモチャが嫌ならば、購入しなければいいだけのことです。高い価格で購入するということは、顧客が価値を感じているということにほかなりません。

 転売が嫌ならば、メーカー側が安定供給する必要があります。もともと、レア商品であれば、高額になることは自明の理だったはずです。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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