度数1%未満の「微アルコール飲料」、油断して飲み過ぎにご用心? 健康への影響は?
健康志向の高まりで、アルコール度数1%未満の「微アルコール飲料」に注目が集まっています。度数が低いと油断して飲み過ぎた場合、健康面にどのような影響を与えるのでしょうか。

健康志向の高まりなどで酒類の消費量が年々低下する中、ビールメーカーが販売するアルコール度数1%未満の「微アルコール飲料」に注目が集まっています。度数が低く、お酒が苦手な人でも比較的飲みやすいことから、若い人を中心に購入する人が増えており、今後もさまざまな商品が発売される見込みです。ところで、度数が低いからと油断して飲み過ぎた場合、健康面に影響はあるのでしょうか。医師の菊池寛さんに聞きました。
肝障害やすい炎の可能性も
Q.アルコール度数1%未満の微アルコール飲料を飲み過ぎた場合、どのような健康被害が考えられるでしょうか。また、微アルコール飲料でアルコール依存症に発展する可能性は。
菊池さん「たとえ度数が低くても、飲み過ぎた場合、アルコールの摂取量は増えます。特に多量に飲む状態を日常的に続けた場合、アルコール性の肝障害やすい炎、生活習慣病につながるほか、アルコール依存症に陥る可能性もあります。また、飲みやすいことから、つい飲み過ぎてしまった場合、糖質の多い製品だと、糖質の取り過ぎにより肥満などにもつながる可能性があります。
従って、微アルコール飲料であっても、飲み過ぎた場合は、ビールや缶チューハイなど他のお酒と同程度の健康リスクがあると考えた方がよいでしょう。なお、アルコール依存症は、度数が高い酒を飲む人ほどなりやすいといえます。度数の高い酒ほど、『酔いたい』という気持ちで飲む人が多い傾向にあるからです。適量を守って飲むのであれば、微アルコール飲料は、他のお酒よりは健康への影響が少ないでしょう」
Q.では、微アルコール飲料の1日当たりの適切な摂取量について教えてください。また、休肝日は必要なのでしょうか。
菊池さん「厚生労働省によると、通常のアルコール代謝能を持つ日本人の節度ある適度な飲酒量は1日平均、純アルコールで約20グラムとされています。これは1%のアルコール飲料に換算すると、1日当たり2リットルです。ただし、海外の研究も含めると、男性は1日当たり10~19グラム、女性は9グラムまでの純アルコールを摂取した場合が、最も死亡率が低いというデータもあります。
そこで、男性は1日当たり1~2リットル、女性は約1リットルにとどめることが、健康においてはベストだと思います。休肝日についてはさまざまな考え方があり、摂取量が多いほど休肝日の有効性が上がる可能性はあります。ただし、有効性が立証されているわけではないので、『休肝日を設けるから大丈夫』と油断するのは禁物です」
Q.微アルコール飲料の流通量が増えた場合、人々の健康にどのような影響を与えるのでしょうか。
菊池さん「度数の高い飲料を求めない人たちが、微アルコール飲料に移行していくことが考えられます。また、『酔うために酒を飲む』という感覚が若い世代を中心に変化していく可能性があります。その結果、アルコールによる健康への影響が減る可能性もあるでしょう。
もともと、アルコールに弱い人が微アルコール飲料を飲むようになる可能性もありますが、そうした人たちは遺伝的素因により、アルコール摂取量の限界値が低いため、すぐに酔いやすいと思います。健康被害につながるような、極端な飲み過ぎをすることはあまりないと思われます」
Q.ちなみに、微アルコール飲料を飲んだ後に車やバイク、自転車を運転した場合、どうなるのでしょうか。度数1%未満とはいえ、運転に影響を与えるのでしょうか。
菊池さん「アルコールの総摂取量が関係するので、飲み過ぎた場合は運転にもちろん影響しますし、取り締まりの対象となります。少量であれば、呼気アルコール濃度が違反の基準値に達しない可能性はありますが、酒気を帯びた時点で運転してはいけないと道路交通法で定められています。たとえ少量であっても、微アルコール飲料を飲んだ後に運転をしてはいけません」
(オトナンサー編集部)
コメント