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夏休みの「宿題」はなくした方がいい理由 国民の生産性に直結する問題も

夏休みの学校の「宿題」は本当に必要なのでしょうか。元小学校教師の教育評論家が解説します。

夏休みの宿題は必要?
夏休みの宿題は必要?

 夏休み真っ最中ですね。毎年のことですが親御さんたちからは「毎日、宿題をやらせるのに一苦労です」「集中力がなくて、1時間でできるはずの宿題に3時間もかかります」「子どもがやることをやらず、ダラダラして困ります」などの悲鳴が聞こえてきます。

労力の割に成果は少ない

 しかし、正直に言えば、これは当たり前のことなのだと思います。そもそも、夏休みというものは、暑過ぎて何もできないから休むことになっているわけです。おまけにもともと、日本の夏は高温多湿で過ごしにくい上に近年、その度合いが一層顕著になっています。それに、子どもたちは4月の始業式から7月の半ば過ぎまで、3カ月半ほど頑張ってきたのですから、休みたくもなります。

 このようなわけで、子どもがダラダラするのは当然ですし、大人だって同じようなものです。年がら年中、頑張ることなどできないわけです。また、「そもそも、夏休みに宿題が必要なのか。本当に効果があるのか」といったこともおおいに疑問です。もちろん、子ども本人が勉強に対する意欲が高くて、本当に楽しみながら、あるいは目的意識を持って主体的に勉強できるなら効果があるでしょう。

 しかし、正直言って、こういう子は極めて少ないのが現実です。ほとんどの子は嫌々宿題をやっているわけです。多少は効果があるのかもしれませんが「その多大なる労力に比べると成果は非常に少ない」と言わざるを得ません。それに忘れてならないのは、本人の能力や家庭環境などにより、子どもたちの間には非常に大きな学力差があるということです。学力格差があるにもかかわらず、宿題は一律に出されることがほとんどです。そのため、宿題が加重負担になって、毎日苦しんでいる親と子どもがたくさんいます。

 このような場合、親が宿題のことで叱り続けることで親子関係が悪化したり、子どもが自己肯定感を持てなくなったりする可能性が高くなります。これは子どもの人格形成によくないので、親が先生に事情を話して、宿題を減らしてもらうとよいと思います。つまり、大人の交渉術で上手にやってほしいのです。

 どうすればいいのかというと、当然ですが、まずは先生に「いつもお世話になっております」と一言伝えた後、「先生に受けもっていただいてから、うちの子、生き生きしてきました」「先生のことが大好きで、家でいつも、先生のものまねをしているんですよ」などと先生のことを褒めるとよいと思います。その後、困っている事情を正直に話して、宿題を減らしてもらってください。

 以上のようなわけで、筆者は夏休みの宿題にはおおいに懐疑的です。それよりももっと、子どもたちがやりたいことをやれる時間を確保してあげた方がいいと思います。つまり、スポーツでも趣味でも遊びでも芸術でも何でもいいので、本人が心から楽しんで熱中できる時間です。こういう時間は本当に大切です。こういう時間の中で、よいことがたくさん起きます。

 やりたいことに熱中しているとき、脳の中で「幸せホルモン」の一種であるドーパミンが出ます。このホルモンは幸福感を高めるだけでなく、意欲、やる気、集中力、理解力、記憶力、思考力を高める働きもあり、いわゆる、勉強に必要な能力も上がるので学力向上にもつながります。

 自分がやりたいことを深めることで自信がつき、自己肯定感が上がります。すると、生活全体に張りが出て、他のことも頑張れるようになります。また、自分がやりたいことを自分で見つけて、バリバリやる自己実現力がつき、主体的な生き方とアクティブラーニングの力がつきます。

 例えば、米国の学校の夏休みは州によって違いますが、短いところで2カ月半、長いところは3カ月、欧州の学校の夏休みも国によって違いますが、だいたい2カ月から2カ月半です。そして、米国も欧州も夏休みの宿題はありません。その豊かな自由時間を使って、子どもたちは遊びも含めて、自分がやりたいことやさまざまなアクティビティー(キャンプなど)に精を出します。

 そのようにして成長した欧米の大人たちが、日本の大人たちより学力が劣っているという事実はありません。それどころか、先述のような、自分がやりたいことを自分で見つけて、バリバリやる自己実現力がついているので、人がやらないような斬新なビジネスのアイデアを見つけて取り組んだり、自ら起業したりする人たちがたくさんいます。

 また、子どもの頃から、「勉強するときは勉強する。休むときは休む」というオン・オフのメリハリのある生活を送ってきているので、大人になってからも仕事と休みのメリハリのある生活が自然にできます。

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親野智可等(おやの・ちから)

教育評論家

長年の教師経験をもとにブログ「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」、ツイッターなどで発信中。「『自分でグングン伸びる子』が育つ親の習慣」(PHP文庫)など、ベストセラー多数。全国各地の小・中・高校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。公式サイト「親力」で新書3冊分のコラムが閲覧可能。公式サイト「親力」(http://www.oyaryoku.jp/)、ツイッター(https://twitter.com/oyanochikara)、ブログ「親力講座」(http://oyaryoku.blog.jp/)。

コメント

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1件のコメント

  1. フランスで子育て中のママです。
    息子は今、日本でいうと中学3年生ですが、先生のおっしゃる通り夏休みは宿題がありません。大きな理由は、新学年が9月から始まるので、日本でいうところの春休みの感覚です。しかし、学校によってですが、特に私立などは課題書物を出して読ませたりすることもあります。
    それと、多くの本屋、スーパーなどで夏休みドリルを売り出し親が買っているところをよく見ます。
    おそらくフランスの親は宿題を出してもらいたいと思っているかもしれません。ないものねだりですね。2か月間の夏休みは、先生が仰るように、親も一緒に短くても一週間から二週間の旅行に行くことが普通です。いつも同じところに行く人たちもいて、バカンス友達がいたりします。
    バカンス大国ならではの楽しみ方ですね。