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“結婚は当然”の彼氏に困惑 43歳女性の「恋人ごっこを楽しみたい」選択

同棲より一歩踏み込んだ関係性は「結婚」しかないという考えが今までの常識でしたが、現代はさまざまな考え方があります。「結婚しない選択」を意識したカップルを紹介します。

「結婚しない選択」もあり?
「結婚しない選択」もあり?

 現代にはさまざまな結婚の形があります。別居婚や遠距離婚、週末婚、事実婚、同性婚など、2人で人生を過ごすスタイルは多様化しています。同棲(どうせい)より一歩踏み込んだ関係性は「結婚」しかないという考えが今までの常識でしたが、働く女性が増えたこともあり、結婚観は緩やかに変化しています。「あえて“○○婚”をしなくてもいいのでは」とさらに先を行く意見を持つ人たちもいます。

 今回は「結婚しない選択」を意識したカップルをご紹介します。

結婚したいアラフォー男性、でも彼女は…

「彼女が結婚したくないって言うんです」。今にも泣きそうな様子の聡さん(42歳、仮名)が私の元に相談にいらしたのは1年前。女性関係に奥手だった聡さんに晴れて彼女ができたのは41歳のときで、聡さんは結婚を意識して彼女と付き合い始めました。

 最初の1カ月は毎日、LINEを何回もやりとりし、会うたびに体を重ねていました。趣味も合うし、話が尽きないラブラブカップルだった2人。その関係がおかしくなり始めたのは、聡さんが彼女にこんなことを言い始めた頃からだといいます。

「ずっと一緒にいたいな」
「2人の未来を考えて、もっと貯金をしようと思うんだ」
「お互いに長生きするために健康でいようと思って、ジムに通い始めたよ。君も運動したら?」

 聡さんは最初から結婚するつもりだったので、「結婚するのが当然」系の言葉を口にしていたようです。そのたびに、彼女は「そうなんだ」「健康は大事だよね」と乗り気じゃない反応を示していました。それでも、聡さんは2人の“ばら色の未来”を思い描いていたのです。

 ある日の聡さんの言葉です。

「結婚したら、僕の家に来たらいいよね。お互いの会社にも近いしさ」

 正式なプロポーズでなく、いつもの「結婚が当然」系の会話でした。途端に彼女は無言になり、顔をこわばらせます。そして、「用があるから」と帰ってしまいました。聡さんは「怒らせるようなことを言ったかな」と、彼女にLINEをしました。

 すると「今までも違和感があったんだけど、私は一度も『聡さんと結婚する』なんて言っていないです。結婚に意味を感じないし。ずっとお互い好きでいて、自然と一緒にいるのなら、それは幸せなことだと思うけど、結婚なんて形式に縛られるのは嫌です」という返事が来ました。驚いた聡さんはどうしたらいいのか分からなくなり、相談に来られたのです。

 その後、私は彼女にスカイプで話を聞くことになりました。彼女は43歳、経済的に自立した女性です。1人暮らし歴は24年、奨学金は返済終了。職場ではマネジャークラスです。彼女は聡さんと出会って、「“恋人ごっこ”を楽しむのもいいかな」と思ったそうです。ここがポイントです。

 彼女はあくまで、「恋人ごっこで恋愛体験ができればいい」という考えでした。女友達と遊ぶのも楽しいけれど、異性とのデートもしてバランスを保っていたい――。彼女は自分の時間を大切にした上で、結婚を前提としない恋愛ができればそれでよかったのです。

 私は聡さんに「彼女との結婚は難しいです。もし、聡さんが彼女に結婚を迫ったら、別れを切り出されるでしょう。聡さんが“結婚”をしたいと思っているのなら、他の女性を探しましょう」とお伝えしました。

 聡さんはいろいろと考えたようです。そして、「それでも彼女が好きだ」と思い、それ以来、一切結婚の話はしていないそうです。今でも彼女と“恋人”としてお付き合いが続いています。あとは、2人の擦り合わせがどこまでできるかです。どんなスタイルを選ぶのか、見守りたいと思います。

ミレニアル世代は結婚にコミットしない?

 アラフォー世代でも、結婚にこだわらない人がいる。では、その下の世代はどうでしょう。

「恋人・夫婦仲相談所」を運営している私の元には、20代男女からの「この人と結婚してもいいのでしょうか」という相談や、「彼氏を紹介してください」系の案件が複数寄せられます。私はプライベートでも、フットサルチームやヤング女子会のコミュニティーを複数運営しているので、彼らの恋愛の悩みを日々聞いています。

 ミレニアル世代前期の彼らは結婚に関する価値観が30代後半、40代とは違うように感じます。会った人全員がそうというわけではないですが、「結婚マスト思考」が薄く、必ずしも結婚に幸せなイメージを持っていない意見を述べる人もいるのです。「親みたいに、けんかばっかりする夫婦になりたくない」といった発言も少なくありません。

 2019年にジャパンネット銀行(現・PayPay銀行、東京都新宿区)が実施した、ミレニアル世代とその親世代を対象とした「住まいと暮らし」に関する意識・実態調査によると、ミレニアル世代において、「結婚前後問わず同居はしない、またはパートナーはいらない」と回答した人が約3割(28%)だったそうです。パートナー自体を必要としない人も含め、パートナーがいても同居したくないと考えているミレニアル世代が確実に存在することを示しているといえます。

 メディアにつくり上げられた「家を買い、子どもが2人いて、ペットを飼って、車を持っている」という旧式の結婚のイメージや「結婚しなければ、人として半人前」という世間の呪縛に苦しめられた時代はフェードアウトし、徐々に自由になりつつあるのではないでしょうか。社会学者の山田昌弘さんが「戦後家族モデル」と名付けた戦後の高度経済成長期の結婚スタイルが、女性が広く活躍を目指す現代でも続くことはないと思うのです。

 ミレニアル世代前期の彼らは友達との会話で気軽に「彼氏(彼女)いるの?」などとは聞かないといいます。深い間柄になって初めて、そんな話をすることもある程度だそうです。もちろん、恋人がいる人に「結婚するつもりあるの?」「子ども、つくるの?」といったことも聞きません。恋愛と結婚のボーダーレス化が生まれつつあるというのが私の肌感覚です。

 自分の幸せをリアルのものにするのは自分自身です。パートナーに「私を(僕を)幸せにしてね」と依存すると関係はねじれます。結婚してもしなくても、愛する相手がいるならば、「あなたを幸せにしてあげる」という“GIVE”の魂を持つこと。この心掛けを持続していけば、結婚の形にとらわれることなく、100歳まで笑顔で寄り添える。そう信じています。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)。

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