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国民意思とかけ離れた五輪! 強行したい与党と不信任案を出さない野党の不思議

本気でモノを言えない野党

 五輪中止となれば、多額の損失が出るとされています。「巨額の賠償金を支払え!」と言われれば、中止を言い出しにくいのは事実でしょう。

 立憲民主党の枝野代表は、菅内閣に対する不信任案は提出しないことを表明しています。「現状で解散できる状況ではない。総選挙できるとは思っていない」と言っているのです。表向きは、新型コロナウイルス感染が拡大する中での衆院解散・総選挙を誘発しかねないことが理由とされています。

 ここで、報道ステーションが公表した、直近3カ月の政党支持率(自民、立憲)を比較してみましょう。

【自民】 45.2%(2月)、43.7%(3月)、45.1%(4月)
【立憲】 11.8%(2月)、10.5%(3月)、9.0%(4月)

 この結果を見る限り、立憲の支持が広まっているようには思えません。

 今、野党が「ワクチンの接種の遅れ」を理由にした内閣不信任案を提出すれば否決されるでしょう。しかし、与党にとって、この否決はアキレス腱(けん)になります。不信任案に反対するということは「ワクチンの接種の遅れはない。だから否決した」という理由が成り立つからです。

 10月の衆議院議員任期満了まで、あと5カ月しかありません。むしろ、不信任案を否決された方が野党はスローガンを立てやすくなります。「ワクチン接種の遅れで国民を危険にさらした」と打ち出せば、与党は何とすればいいのでしょうか。「ワクチン接種は遅れていない」と抗弁するしかなくなります。

 見通せば、不信任案を出さない理由が見当たりません。野党は、憲法上の拘束力のない問責決議案の提出などを考えていると思いますが、まさに愚の骨頂です。選挙が怖いのでしょうか。

 朝日新聞AERAによれば、高齢者に対する「新型コロナワクチン1日1万人接種」計画が、自衛隊だけでは人手不足で、人材派遣会社や日本旅行などに約37億円で“丸投げ”していたことが明らかになっています。ワクチン接種と五輪の日程がかぶっていたからでしょう。しかし、期間中に大きな災害が発生したらどうなるのでしょうか。自衛隊は潤滑に動くことができるのでしょうか。

 国民意思とかけ離れた五輪が開催されようとしています。しかし、追及する野党にも本気度を感じません。強行したい与党と不信任案を出さない野党の姿勢がまったく不思議でならないのです。

(コラムニスト、著述家 尾藤克之)

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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