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嫌がらせで宅配ピザを送りつける行為に元店員「迷惑だからマジで」、法的には?

嫌がらせでピザを送りつける行為について、元デリバリー店員が「困るのは頼まれた店」などとツイート。SNS上で、これに同情する意見が上がりました。嫌がらせやいたずらで商品を送りつける行為の法的意味とは——。

嫌がらせでピザを注文、どんな罪になる?

 SNS上で先日、元デリバリー店員が、嫌がらせでピザを送りつける行為について「困るのは(送りつけられた)相手じゃなくて頼まれた店」「迷惑だからマジで」などと発言。これに対して、「れっきとした業務妨害」「食べ物を粗末にしてはいけない」といった、同情の声が寄せられました。

偽計業務妨害罪が成立する可能性

 宅配のピザや寿司、Amazonなどを利用して、商品を他人の家に送りつける行為について、アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士は次のように話します。

「民事上、民法709条によってピザ屋などの業者に対する不法行為が成立し、虚偽の注文をした人に損害賠償責任が生じます。虚偽の注文をした人は代金相当額を支払わなければなりません。刑事上は、注文主を偽ることで相手をだまして注文しているので、刑法233条の偽計業務妨害罪が成立し、3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます」(吉岡さん)

 だまされて商品を運んでしまった業者としては、民事上の損害賠償請求をするとともに、警察に申告し、捜査を開始してもらうといった対抗措置が考えられます。しかし、犯人が非通知で電話をかけたり、ネットカフェのパソコンを使ったりした場合、捜査機関では、犯人を特定することができるのでしょうか。

「捜査機関は、携帯電話事業者を通して非通知発信の携帯の契約者を特定し、犯人を特定することが考えられます。しかし、携帯の契約者と使用者が異なる場合には、特定が難しいかもしれません。また、ネットカフェは利用者の本人確認をしているので、送信日時にパソコンを使用していた利用者を割り出し、犯人を特定することが考えられます。しかし、利用者が偽造の身分証明書などを使用していれば特定できない可能性もあります」

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吉岡達弥(よしおか・たつや)

弁護士

東京弁護士会所属。明治大学法学部卒業、立教大学法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。労働問題や独占禁止法、著作権関連、税務訴訟などの企業法務に詳しい。幼少時から実家の米屋を手伝い、事業承継、税金、再開発問題に長年“クライアント側”として関わった経験から、依頼者目線での解決を得意とする。

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