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志尊淳に岡田健史 「キャッチャー男子」がイケメンシーンをリードする

ゲームを組み立てる「指令塔」

 しかし、強みはそこだけではありません。野球はスポーツの中でも、ルールが難しく、駆け引きも複雑です。とりわけ、キャッチャーは高い知力が必要とされます。投手のリードはもとより、ただ一人、ダイヤモンドの外側にいて全体を俯瞰(ふかん)し、監督の意図をくんでサインプレーの指示をするなど、ゲームを組み立てる「指令塔」的なポジションです。

 それゆえ、賢さとリーダーシップを併せ持つ人材が生まれやすいという特徴があります。頭を使う「ID野球」を提唱した野村克也さんはその代表でしょう。また、現役時代には巨人、監督としては西武の黄金時代を築いた森祇晶さんもいますし、選手会会長として経営者たちと渡り合った古田敦也さんもいます。

 そういえば、万能アスリートとして知られる武井壮さんは、始球式で140キロの速球を投げるという目標のために、練習相手を上地さんに依頼しました。それまでは「松坂に乗っかった、元やってました(程度の)キャッチャーだと思ってた」そうですが、的確なアドバイスを受け、実際に球速がアップ。

「あの子は賢いからピッチャーのことよく見てる」(「たまむすび」TBSラジオ)

 と、絶賛していたものです。

 確かに、賢くなければ、おバカタレントからソロ歌手、俳優として生き残ることはできないでしょう。「盤上のアルファ~約束の将棋~」(NHKBSプレミアム)で無頼派の天才棋士を演じたときなど、なかなかのハマりっぷりでした。

 賢さについては、岡田さんにも印象的なことがあります。昨年、「ノンストップ!」(フジテレビ系)に出演した際、役者の魅力に目覚めたときのことを振り返りながら、こう語ったのです。

「本当に何とも言えない感情になって、そのときの、当時の感情を言語化することが、僕の今の一つの目標でもあるので」

 21歳(当時)の青年から「感情を言語化する」という言葉が出たことに、新鮮な驚きを感じました。野村さんが「ノムラの考え」という戦術書を使って頭と言葉で選手を指導したように、これもキャッチャー脳のなせることかもしれません。

 それとは別に、キャッチャーは「女房役」とも呼ばれます。それこそ、「亭主」タイプの多い投手をおだてたりしながら乗せていく能力も求められるのです。ある意味、「オレがオレが」という男っぽさだけでは通用しないポジションです。

 その点、志尊さんは特撮ヒーローの主人公役で世に出ながら、「女子的生活」や「半分、青い。」(ともにNHK総合)でフェミニンな役にも挑戦。ファッションや言動でその役になりきり、話題になりました。ジェンダーに対する意識が多様化する中で、この幅広さは強みといえます。

 ジェンダーに限らず、今は多様化が進む世の中です。芸能人、そしてイケメンの世界も例外ではないでしょう。そんな中、肉体改造できるストイックさや頭も言葉も使える賢さ、さらには、男っぽさだけではないところもすてきに見せられるキャッチャー男子は注目の存在。まさに、これからの時代をリードしていく存在なのです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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