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立教池袋、聖学院、巣鴨…注目の私立一貫校「新入試」、子どもの個性育む選択を

立教池袋の自己アピール入試、共立女子のインタラクティブ入試、大妻中野の算数入試…従来とは異なる、新しいタイプの入試を行う私立中高一貫校が増えています。

東京都豊島区にある立教池袋中学校・高等学校
東京都豊島区にある立教池袋中学校・高等学校

 来年1月から始まる大学入学共通テストへの切り替えが近づく中、改革の2本の柱とされる「英語の民間試験導入」「大学入学共通テストでの記述問題の導入」が見送られ、大きな話題となりました。

 大学入試改革が一進一退する中、実は私立中高一貫校ではかなり前から、入試改革が行われていました。

 中学受験といえば、算数、国語、理科、社会の4科目入試、あるいは算数、国語の2科目入試が一般的です。しかし、ここ数年の中学受験では、従来の学科試験とは異なる新しいタイプの入学試験(以降、新入試)を取り入れる学校が増え続けています。

 新入試には、適性検査型、合科目・総合型、記述・論述型、PISA型、思考力型、自己アピール(プレゼンテーション)型、英語型、算数1科型といったものがあります。

 これらの新入試の目的は、ペーパーテストだけでは測れない、受験生の多彩な資質や主体性、表現力を評価すること。これは、今回の大学入試改革をはじめとする教育改革の内容と一致するものです。

難関校では、いち早く入試が変化

 もともと、私立中高一貫校の入試では、知識の活用や自分の頭で考える記述問題が出題されてきました。

 例えば、麻布で出題された“ドラえもん問題”は、「ドラえもんが生物と認められない理由」を記述させるユニークな内容で注目を浴びました。

 武蔵の理科の入試でほぼ毎年出題される“おみやげ問題”は、手渡された封筒の中にある「モノ」を観察させるという面白い内容です。創立時の1922年のおみやげ問題では、封筒の中に3枚の木の葉が入っていたといいます。

 また、大学AO入試の導入が話題となっていた過去10年ほどを振り返ってみると、多くの難関校で入試の質が変化してきたことが分かります。

 雙葉は2006年に4教科の試験時間を延長し、翌日の合格発表も午前8時から同9時へ変更しました。これは、記述問題の増加によるものと考えられます。

 フェリス女学院や横浜雙葉では、国語と算数の試験時間を延長。攻玉社や栄光学園では、算数の試験時間を延長するなど、同様の試験時間の変更が他校でも行われてきました。

 各校で内容は異なりますが、いずれも途中式や記述内容から、受験生の考え方を丁寧に採点したいという傾向が見られます。

中学入試が多様化する理由

 このように、単に知識の量を測るのではなく、受験生の思考力や表現力を問う傾向は、かつては難関校に多く見られるものでした。それが、ここ数年はさまざまな学校に広がり、入試問題だけではなく選抜方法も多様化してきています。

 私立中高一貫校の新入試実施校の推移を見ると、2014年は30校ほど、2015年は40校ほど、2016年には85校以上と、2016年に爆発的に増加。中学入試改革は大学入試改革を先取りする形で広がり、現在では、首都圏だけでも140校以上が新入試を導入しています。

 新入試の先駆けとなったのが、立教池袋の自己アピール入試。同校では2005年に、学科4科目の筆記試験による一般入試の他、学科2科目の筆記試験と自己アピール面接による一般入試回次を設けています。その内容は、受験生が試験会場を普通教室、体育館、音楽室、英語教室の中から選び、自分の得意なことをアピールするというもの。これは「自分のテーマを持って学ぶ」という学校の理念を表したものです。

 共立女子の2016年入試では、国語、理科、社会による“合科型論述”と、算数とグループワークで合否を決める“合科型論述テスト”を新設。さらに、受験生のコミュニケーション力を評価する英語インタラクティブトライアルと算数による“インタラクティブ入試”など、複数の入試選抜方式を打ち出しました。

 学校側は、これらの多彩な入試を導入する趣旨として、入学後、それぞれ得意なことや興味、関心が異なる多様な生徒たちでクラス編成をし、多様性を受け入れ、共に生きる力を育みたいからとしています。

 大妻中野は、2017年に“新思考力入試”を新しく設けた他、2018年には“算数入試”を新設し、中学1年からプログラミング授業をスタートさせました。

 聖学院は、レゴブロックを使った“ものづくり思考力入試”を導入、2013年には“思考力入試”を実施して話題になりました。これは受験生の学力のみならず、潜在的な思考力や創造性、協働性を評価し伸ばしていくという、入学後の教育方針と連動したものです。

 また、2019年に、巣鴨、世田谷学園といった伝統男子校が算数1科入試を設けるなど、新入試は広がりを見せています。

 ここで挙げた事例はほんの一例で、新入試にはさまざまなタイプがありますが、いずれにしても内容や出題傾向は、学校の教育理念を体現しているというのが大きなポイントとなるところです。

 つまり、私学各校が目指す教育理念に沿って、受験生をどのような観点で評価、選抜するのか。それを示すものが各校の入学試験なのです。

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笠原紗由香(かさはら・さゆか)

「親子のための中等教育研究所」所員

中学受験情報誌「私立中高進学通信」編集部を経て独立。編集者・ライターとして、中学受験情報誌の企画・編集・取材・執筆などを担当。首都圏の私立中高一貫校を中心に、高校・大学などに日々足を運ぶ。「親子のための中等教育研究所」所員。

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