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グランメゾン東京も好評! ハードル高いイメージの「フランス料理」、魅力や歴史は?

フランス人は日本のフレンチをどう評価?

Q.では、日本で評判のフレンチレストランは、日本人の舌に合わせた料理が作られていることが多いのでしょうか。

大前さん「『日本人の舌に合わせる』というのとは違います。その土地の食材とフレンチの技法がうまく合わさったときに、おいしい料理が生まれます。ですから、フレンチシェフが店を開く場合、まずはその土地の食材を調べ、食材の良さを生かせる調理法を考えるところから始めます。開業後も日々、ベストな調理法を模索する過程で和食のスタイルや食材を取り入れ、自然と日本人に食べやすいフレンチになるのです。

もちろん、中には、フランス料理のポピュラーなメニューを漫然と調理するだけの店もあります。ただ当然ですが、ミシュランガイドで星を獲得するような一流店に成長するのは、食材に向き合い続けた店だけだと思います」

Q.フランス人は、日本のフレンチレストランの料理をどのように感じているのでしょうか。

大前さん「友人のフランス人何人かに聞いたところ、『かなりレベルが高く、おいしい』と言っていました。ただし、それは故郷を思い出すような、ホッとする味ではないということでした。生まれた頃から慣れ親しんだフレンチというよりは、『日本独自のフレンチ』という感覚で、別物と感じているということでした」

Q.日本人シェフがフランスに行った場合、現地で活躍できるのでしょうか。

大前さん「日本人特有の細やかな感性と素晴らしい技法を持った料理人が現地で開業すれば、フランスの星付きレストランと渡り合えるぐらいのレストランになる可能性はありますし、現在、何人かの日本人がフランスですでに星を取っています」

Q.ミシュランガイドが日本で発売されて以降、東京の飲食店が星を獲得するケースが増えました。「東京の飲食店のレベルは世界一」という声もありますが、パリと東京では、どちらの方がミシュランの星を取りにくいのでしょうか。

大前さん「東京が世界一の飲食店の街というのは間違いではありません。フレンチ以外にもイタリアンや中華など、さまざまなジャンルの料理店があり、あらゆるジャンルの中から選ばれるという点で東京のレベルは高く、星は取りにくいかもしれません。

ただし、フランス料理に関しては、パリの方がはるかに星を取りにくいです。当然、フレンチレストランの数は東京より多く競争率も高くなります。三つ星ともなると、それは果てしない道のりです。ただ、その土地ならではの料理が生まれるのがフランス料理のよいところです。『日本のフレンチより本場のフレンチの方が上』と優劣をつけるのはナンセンスです。進化を続ける日本のフレンチに一度足を運んではいかがでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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大前知誇(おおまえ・ちか)

チェリスト、料理家

桐朋学園大学音楽学部卒業後、ジュリアード音楽院、デトモルト国立大学、パリ国立音楽院で学ぶ。2002年ラッコニージ国際コンクール第2位。「ファンダメンタル・ノート」を含む2枚のCDをリリース。国内及び欧州各地で数多くのコンサートに出演している。演奏活動の傍ら、パリのエコール・リッツ・エスコフィエにて、フランス料理・製菓・パンのマスター・ディプロマを取得、リッツ・ホテル内「エスパドン」での修行を経て、帰国後、「音と食のコンサート」シリーズなどコンサートプロデュース、エッセイ執筆、セミナー講師など活動は多岐にわたる。料理教室「メゾン・ブランシュ」主宰、レコール・デュ・ヴァン講師、日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ。

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