肌荒れ心配と懸念も…子どもに「スキンケア」は必要? 製品を使ってよい時期は?
小中学生向けのファッション雑誌やクラスメートの影響で、スキンケアに興味を持つ子どもは多いようです。スキンケアは、何歳ごろから必要なのでしょうか。

「修学旅行やお泊まり会の時、友達が使っていたから」と初めて化粧水や洗顔料を買って使い始めた――。小学校中~高学年の頃、そうした経験をした女性も多いのではないでしょうか。小中学生向けのファッション雑誌やクラスメートの影響など、少し背伸びをする気持ちでスキンケアに興味を持ち、早い時期に「化粧水デビュー」をする子どもは少なくないようです。
ネット上では「子どものきれいな肌に化粧水をつけるのは抵抗がある」「洗顔料はまだ早いのでは」「逆に肌が荒れないか心配」など、懸念する声も上がっています。子どものスキンケアの必要性について、アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士医師(皮膚科・形成外科)に聞きました。
あかや汚れがたまりやすい子どもの肌
Q.医学的観点から、子どもはスキンケア製品を使ってもよいのでしょうか。それとも控えるべきでしょうか。
佐藤さん「子どもは大人よりも活動性が高く、単位面積当たりの汗腺の数が大人より多いために発汗量が多いので、肌にあかや汚れがたまりやすくなります。その一方で、皮膚が成人より薄く、皮脂の分泌も少なく乾燥や外的刺激から守る皮脂膜が未発達なことなどから、大人の肌よりも外的刺激に弱く乾燥しやすいです。
そのため、肌についた汚れを落とし、刺激や乾燥から皮膚を守る必要があります。スキンケア製品の使用がこうした、汚れを落とす、保護する、保湿することを目的としている場合、使用してもよいと考えます。ただし、肌にダメージを与える恐れのある刺激性の成分を含んでいない製品を使用することが前提です」
Q.子どもがスキンケア製品を使ったときに起こり得る肌への影響は。
佐藤さん「子どもの使用について、特に注意すべきスキンケア製品は次の通りです」
【洗顔料】
汗や汚れをしっかり落とすことができますが、洗浄力が強すぎると過剰に皮脂を除去してしまうため乾燥がさらに進行します。ガサガサ肌になったり、かぶれや湿疹を起こしたりすることがあります。
【化粧水】
洗顔後に肌のつっぱり感をなくしたり、乾燥から肌を守ったりすることができる点はよいですが、肌に合わない成分や刺激性のある成分が肌にダメージを与え、かぶれや湿疹を起こすことがあります。
【乳液】
保湿効果が高いので、より乾燥している肌に使用するとよいでしょう。ただし、肌に合わない成分や刺激性のある成分により、肌がダメージを受け、かぶれや湿疹を起こすことがあります。
【ボディー用ミルク・オイル】
ボディーがかさかさしている場合に使用します。オイルは保湿効果が高いですが、べたつくので子どもは嫌がるかもしれません。他のスキンケア製品と同様に、肌に合わない成分や刺激性のある成分により、かぶれや湿疹を起こすことがあります。
Q.医学的見地から、子どもがスキンケア製品を使っても問題が少ないと考えられるタイミングは、一般的にいつごろですか。
佐藤さん「生後すぐより、スキンケアをするのが大事です。新生児の肌はピチピチ、ムチムチしてきれいなので『ケアが不要』と考えがちですが、前述の通り、乾燥や刺激にとても弱いです。できるだけ早い時期から、保湿と保護の作用があるベビー用ローションの使用を開始した方がよいでしょう。
生後2カ月までは皮脂を多量に出すため、『脂漏』という脂の塊が皮膚に付着して肌トラブルを起こしやすい時期です。ベビー用洗浄剤を使って、全身に付着した皮脂を丁寧に洗いましょう。洗った後はすぐにベビー用保湿剤を全身に塗り、皮膚を守ることが大切です。生後3カ月からは皮脂腺の活動がほぼストップするので、肌は乾燥しがちです。
3歳までは常に保湿などのスキンケアをすることで、肌のバリアー機能を維持することができます。3歳以降は肌の状態を見て判断しますが、スキンケアは継続的に行うのがよいでしょう。肌に合った製品を使用していれば、肌の正常な部分が悪化することはありません。日頃から子どものスキンケアに気を配ることで、乾燥肌の予防や病気の早期発見にもつながります」
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