公共施設が「迷惑客」を放置して他の客に被害…施設側に法的責任はある?
公共施設などの利用者で頻繁にトラブルを起こす人がいた場合、そのまま放置して他の客とトラブルになったら、施設側も責任を問われるのでしょうか。

先日、女性漫画家が「美術館で作品を鑑賞中に、車いすの男性に殴られた」と自身のツイッターで告白し、話題となりました。報道によると、殴られた件を美術館に伝えたところ、「常連客で頻繁にトラブルを起こす人だが、できるのは口頭注意ぐらい」と告げられたとのこと。美術館は後日、SNS上で謝罪しましたが、ネット上では「完全に暴行事件」「出禁にしてほしい」「警察に突き出すべき」など、美術館側の対応を非難する声が上がりました。
頻繁にトラブルを起こす迷惑客に出入り禁止などの対応をせず、野放しにして他の客が被害を受けた場合、運営者は責任を問われるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
事前に被害を防ぐ義務がある
Q.商業施設や、美術館などの公共施設の運営者は、頻繁にトラブルを起こす迷惑客に対し、今後の一切の出入り禁止、あるいは出入りの一時禁止などの対応を行っても問題ないのでしょうか。
牧野さん「一般的に、店などの商業施設、美術館などの公共施設には『契約の自由』があり、誰と契約するかは自由です。ただし、特定のカテゴリーの人に対して入場を拒絶することは憲法の『法の下の平等』に反するので許されません。また、民間と公共施設では、後者の場合にはその公益性から『契約の自由』が制限される場合が多いでしょう。
とはいえ、今回のケースでは、美術館が『契約の自由』により、迷惑をかける可能性が高いお客を入場させない対応を取っていたとしても、法的には問題がなかったと思われます」
Q.もし、迷惑客を野放しにしたことで他の客に被害が及んでしまった場合、運営者は責任を問われるのでしょうか。
牧野さん「迷惑客がいつ他人に危険を及ぼすか分からない場合、事前にそれを防止する義務が運営者にあるでしょう。その点で運営者に故意過失があれば、不法行為に基づく損害賠償を負う可能性があります」
Q.駐車場やライブ施設などの中には、「お客さま同士のトラブルについては、一切責任を負いません」と規約などで明記している施設もあります。あらかじめ「トラブルは一切責任を負わない」と明記しておけば、トラブルが発生しても運営者に責任が生じないのでしょうか。
牧野さん「利用規約で明記しており、利用者にそれが周知されていれば、有効になる可能性があるでしょう。利用規約への明記・周知によって、損害賠償を免れる可能性はあります。
そもそも、客同士のトラブルについて、施設管理者は関与するものではありませんが、施設管理者のスタッフが利用者同士のけんかを止めようとして余計にけんかが激しくなった場合などに、施設管理者の責任が問われる可能性があるので、念のためこうした規約が記載されていると思われます」
Q.もし、商業施設などを利用中に他の客から一方的に迷惑行為を受けた場合、被害を受けた客はどのように対応するのが望ましいのでしょうか。
牧野さん「まずは、施設側に被害を訴えて支援を求めることが考えられますが、解決しない場合、加害者側の客に故意過失があれば、被害を受けた客は不法行為に基づく損害賠償を請求することができる可能性があります」
Q.商業施設や公共施設での客、利用者同士のトラブルに関する事例、判例はありますか。
牧野さん「2014年9月に東京都北区のラーメン店で、ささいなトラブルから隣の男性客に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた男性(38)の裁判員裁判の判決公判が翌年3月に東京地裁であり、懲役7年が言い渡されました。この事件について、ラーメン店の法的責任は問われていないようです」
(オトナンサー編集部)
これは結局、漫画家側が大して被害も受けてないのに大げさに盛って話したのが真相で、施設側の対応も「被害がほとんどない、もしくは被害者だと言い張る方が実は加害者」ということもあっての消極的な対応になったのが真相なので、「こんな場合どうする」と例にして述べるのに適さないでしょう、本当に被害が大きかった場合、ちゃんとした対応になってる可能性が高い。