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非モテから人情系へ? 南キャン・山ちゃんが結婚で得るもの、失うもの

蒼井優さんとの結婚で世間を驚かせた、南海キャンディーズの山里亮太さん。結婚によって、仕事にはどのような影響があるでしょうか。

結婚会見する山里亮太さんと蒼井優さん
結婚会見する山里亮太さんと蒼井優さん

 お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太さんと、女優の蒼井優さんの結婚。その結婚会見は、芸能史に残るほど祝福ムードにあふれたものでした。ただ、好事魔多しというべきか、一抹の不安もあります。男性芸人の結婚の意外な難しさです。

結婚は飛躍の好機となりうるのか

 何しろ、あの明石家さんまさんですら、結婚してつまらなくなったと言われたものです。妻の大竹しのぶさんやその連れ子である長男、そして2人の実子である長女のIMALUさんへの配慮から“日本一のサイテー男”というキャラを封印してしまったのが原因でした。しかし、離婚によってそのキャラを復活させ、しかも、バツイチ(=さんまさんが広めた言葉)になったことをネタにすることで、さらにパワーアップしました。

 では、山里さんがどうかというと、こちらは長年“非モテ”キャラでやってきました。そこから発せられる「毒」が大きな武器です。それゆえ、会見でも、

「引き続き、人のことをねたむし、ひがむと思う。モテなかった人間が結婚して変わるんじゃないかと言われる。それは変わらない」

と“キャラ続行”を宣言。しかし、世の男性がうらやむ美人女優との結婚は、やはり、「お前が言うな」という空気を生むでしょう。例えば、アンガールズ・田中卓志さんほどには、その手の毒が説得力を持たなくなるかもしれません。

 ところが、山里さんの場合、これはむしろ飛躍への好機です。というのも、彼は現在、さまざまな仕事をこなしていますが、世間的に印象が強いのは日本テレビ系情報バラエティー「スッキリ」での「天の声」や、同局のバラエティー「ヒルナンデス!」のコーナー「3色ショッピング」の進行などでしょう。司会を任されるにしても、他のタレントとの共同MCという形が多かったりします。

 レギュラー番組を数多くを抱える人気者ですが、堂々たるメインMCという扱いは、ほとんどされていないわけです。しかし、彼はおそらく、ゴールデンやプライムの番組を1人で仕切れる人です。その司会能力は、ウッチャンナンチャンの内村光良さんや、くりぃむしちゅーの上田晋也さんに匹敵するレベルだと思われ、特に「例えツッコミ」のうまさは他の追随を許しません。

 小型自転車に乗った相方のしずちゃんを「サーカスの熊」と呼んだり、髪も衣裳もカラフルな美輪明宏さんを「巨大なセキセイインコ」と表現したり。透明感については「釣ったばかりのイカ」、差がありすぎることは「紙相撲に力士が来ちゃった」に変換しました。「僕、アスベストじゃないですから」と自虐にも適用しています。

 そんな能力を自在に駆使して、大人数のゲストが集う現場を回し、盛り上げるのも十分に可能なことでしょう。現在、そういう役割があまり与えられていないのは、もっぱら、女性の支持が低そうというイメージのせいです。そこが、テレビ局やスポンサーに二の足を踏ませてきた原因と考えられます。いわば、非モテキャラの完成度の高さゆえに、真の実力が見えにくい芸人でした。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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