竹内結子が思う“家族”とは 「理想を作らないことが理想の家族かな」
映画「長いお別れ」で長女・麻里を演じた竹内結子さんにインタビュー。長女という役柄、家族とは何か、演じる上で気を付けていることなどを聞きました。

映画「長いお別れ」で長女・麻里を演じた竹内結子さん。同作は、父・昇平(山崎努さん、「崎」は正しくは「たつさき」)の70歳の誕生日に集まった麻里(竹内さん)と次女・茉美(蒼井優さん)は、父が認知症になったことを母・陽子(松原千恵子さん)から告げられます。日に日に記憶を失っていく父に戸惑いながら、それぞれが自分自身を見直していく…中島京子さん原作の実写映画化作品です。
オトナンサー編集部では、竹内さんにインタビューを実施。長女という役柄、家族とは何か、演じる上で気を付けていることなどを聞きました。
認知症は、軽い気持ちで踏み込めない
Q.原作はお読みになりましたか。
竹内さん(以下敬称略)「まだなんです。オファーを頂いた際に原作があると知ったのですが、演じる台本と原作とで設定が変わっているところがあると聞きまして。それなら、まずは台本の世界観を優先しようと。これからゆっくり読もうと思います」
Q.麻里と似ているところはありますか。
竹内「一番は息子がいること。自分の子どもより年齢が上なので、年頃になったらどういうことが起こるのかなと興味もありました。役を通して改めて感じたことは、こういうことが起きたらこうすればいいんだ、ということはない。それぞれが年齢やその時の状態によって変化するように、家族の形も変化するもの。自分もそれに合わせて変化していきたいですね」
Q.長女という役柄で、会話をリードするように言われたとお聞きしました。
竹内「監督から、妹との会話は姉が流れを作ってくださいと言われていました。女同士の姉妹の会話って、遠慮がないというか、結構きつく当たったりすることがあると思うんですが、監督は麻里と芙美には、もっとふんわりとしたやり取りを求めているなという印象を受けました」
Q.中野監督の指示で面白かったものはありますか。
竹内「私と母と妹の3人のシーンで、声のかけ方にこだわりを持たれていて、『次は』というセリフで、『もうちょっと優しく』『もうちょっと厳しく』と細かい調整を求められました。そこが面白かったです。きつくなってもいけないし、優しすぎてもいけないし、甘いわけでもない、『どこだ?』と思いました(笑)」
Q.竹内さんにとって家族とは何でしょうか。
竹内「小学校の標語じゃないですが、『家庭は小さな社会です』という言葉が今になって身にしみています。言いたいことを言えたら一番だとは思いますが、思ったことを全部ぶつけていたら家族でも壊れてしまう。お互いの年齢や状況で関係性も変化していくものだと思っています」
Q.理想の家族像はありますか。
竹内「『これが理想だ』とは言えない、理想の家族ってないなと思います。理想って何だろうって突き詰めていくと、自分で首を絞めるなと。言霊ではありませんが『家族ってこうでしょ』と決めるとそこに囚われてしまうと思うんです。理想を作らないことが理想の家族かな」
Q.今回、挑戦したことはありましたか。
竹内「このオファーを受けたことが挑戦でした。今回は“認知症”が題材の作品で、軽い気持ちで踏み込める内容ではないし、私自身、身近でそういう経験をしたことがなかったので、『それでも大丈夫ですか?』と相談したことを覚えています。作品を通して出口はないものだなと感じました。いずれは、両親や私自身もそうなるかもしれませんが、この作品のようにほがらかに過ごしていけたらいいなと思いました」
Q.普段、演じる上で気を付けていることは。
竹内「マナーとしてセリフを全て覚えていくこと(笑)そこが最低限。10代の頃、『全部覚えておいて、手放しで本番に臨みなさい』と先輩に教わりました。『台本を持ちながらお芝居をしていたら、相手の顔を見られないでしょ』と言われ、その通りだなと。まずはセリフを覚える、あとは撮影現場に入れば大丈夫だと思っています」
Q.リフレッシュにしていることありますか。
竹内「香りを変えること。部屋に置いてあるアロマデフューザーの香りを気分や季節ごとに変えています。香りが変われば気分も変わる。最近のお気に入りは、サンダウッドの木や森の香り。花よりは木やスパイスの香りが好きですね」
映画「長いお別れ」は5月31日から全国公開。
(オトナンサー編集部)
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