あなたの品格が問われる? 政界でも蔓延する「させていただく」に要注意!
政治の世界やテレビなどで耳にすることが多くなった「させていただきます」。しかし、誤った敬語の使用はその人の品格が問われる、と筆者は主張します。

ここ数年でしょうか、よく耳にする違和感のある話し方に「~させていただきます」というものがあります。6月6日に「3行で人を動かす文章術」(WAVE出版)を上梓しました。その中からいくつかのエピソードをご紹介します。
立法府でも蔓延する「~させていただきます」
「~させていただきます」は、立法府の最高機関である国会でも一般的になりつつある言葉です。いつごろから使われ出したのかを調べてみました。「国会会議録検索システム」というデータベースで調べると、衆参すべての議事録が検索できます。
昭和50年度(1975年)は152件、昭和60年度(1985年)は241件。昭和から平成にかけては横ばいですが、平成21年度(2009年)に400件を超え、その後も同じ水準で推移しています。平成21年といえば、第172回国会で鳩山由紀夫内閣が正式に発足したタイミングです。
筆者が、違和感とともにこの言い方を最初に聞いたのが、「代表を務めさせていただいております」「質問させていただきます」という国会答弁だったと記憶しています。また、当時は、行政刷新会議が行っていた「事業仕分け」なるものが注目されました。
“正義の味方”の民主党議員が、国家予算のムダづかいをする役人を懲らしめているような場面は記憶に新しいところです。このときに聞かれた「この事業は中止とさせていただきます」という説明にも違和感を覚えました。
民主党は選挙という国民の付託を経て政権を奪取しました。自らの政治信念から、政権交代を果たしたのであって、気後れする必要はありませんでした。「政治家は言葉が命」といわれますが、言葉をあまりにも容易に捉えてしまっていたように思います。
本来、政治家に求められるリーダーシップからは、ほど遠い印象を与えてしまいました。普通に振る舞えばよかったわけです。
最近では、テレビでタレントがよく使っていますが、丁寧な話し方だと思っているのでしょうか。「出演させていただきます」「お付き合いさせていただいております」などは、過剰なへりくだりにしか聞こえません。
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